初めての伊坂作品。本当に面白かった。過去の様々なエピソードがここぞというタイミングで光り輝く。その最たるものが、ラストにあるように思う。また青柳雅春が両親に宛てた手紙も秀逸。
自分自身、伏線が回収されていくさまがすごく好きで、そういった意味でこの作品はカタルシスに満ちていた。
また、青柳からの視点と樋口からの視点をミックスすることで、事件の内と外からの両方の視点が得られ、これも作品に引き込まれる要因であった。
レビューの中に「オチがない」という内容があったが、事件の裏側にある物事を考えたら、強引にオチ(真犯人の逮捕等)をつけてしまうと、一気にB級作品に転げ落ちてしまうように私自身は思っている。
私たち一人一人は本当にちっぽけな存在で、巨人の思惑の中でしか生きることが許されないという作品世界(現実世界もか?)の中で、登場人物が全てフルネームで描かれていたことが、人間一人一人のアイデンティティを象徴しているように感じた。
本当に面白い作品だった。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2012年7月3日
- 読了日 : 2012年7月3日
- 本棚登録日 : 2012年7月3日
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