単にスピード感だけで時事のことを扱う、内容の薄い新書も多い中、本書は本当に質の高い新書だと思います。EUが今抱えてるいろいろな問題について、それぞれ丁寧にここにいたる経緯や状況の変化を説明してくれます。
内容が本当に盛りだくさんでまだまだ咀嚼できてない(いい意味でもう一度読みたい)のですが個人的には、シェンゲンであったりユーロであったり目に見えるメリットを与えてくれていたEUが、まさにそのメリットである部分から大いに問題(ユーロ危機、難民問題、テロリストの問題)が生じてしまっているということが一番大きいのかなとこの本を読んで感じました。一方で、欧州か議会というものに対して直接選挙ではあるが遠い存在であり、メリットではなくさまざまな規制や財政規律を守ることへの強い圧力、テロリストの流入の危険などデメリット部分ばかり強く感じられるようになってしまったという状況があるということが感じられました。この辺が、ブレクジットや各国でのEU懐疑派の躍進につながっていると。
通読して自分も少し現実的になれたのかな、という気がします。今までEUというものはどちらかというと素晴らしいものだな、と思っていたので、これまでもいろいろなせめぎ合いがあって結構理想と現実の狭間をうまく通ってきているんだな、と思われて。
総じて、EUの現状や今後を知る上でとてもいい入門書のように思いました。おすすめです。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
趣味・教養
- 感想投稿日 : 2016年12月24日
- 読了日 : 2016年12月24日
- 本棚登録日 : 2016年12月24日
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