このお話の主人公の梨木くんは
中学3年のときに人の心を読めるという能力に
気がついた

人のことを注意深く観察して
困っている人がいたら
ほっておけない、声をかけ行動する。

大学生になりバイトを始めた梨木くん
店長の大竹さんはかなり癖のある人物だし
新しく入ってきたバイトの常磐さんは
何を考えているのか全くわからない

梨木くんにも他の誰にも
心をひらいてくれないのだ。

そんな常磐さんにはなにか事情があるようで・・・

瀬尾まいこさんが書くと普段なら大嫌いな
はずのキャラクターも妙に愛すべきキャラに
なってしまうのが不思議

でも確かに人との関係性って
変わっていくことあって
最初の出会いが最悪な人ほど後々いい関係に
なれることはあるのよね。
最初にいい感じの人は付き合っていくうちに
下がっていくしかないけど
最初が最悪だとちょっといい面見ると
上がっていくからだろうけど。

人間関係って難しいけど
梨木くんみたいに注意深く見ていくと
案外いいところが見えてきたりもするんだろうな。

ついつい、この人はこういう人!って
決めつけてしまうところがあるけど
そういう風に決めつけちゃうのって
人間観察が不足しているのかもしれない。

梨木くんには人を注意深く観る観察力も
あるけど、この人が今何をしてほしいか
何に困っているかを
想像する想像力もある。
想像力って大事よねーと日々痛感している。
秋音が出てくるあたりから
なんとなくあーそういうことか・・・と
重たい話になってきてドキドキ

人の抱える悲しみと
向き合うのは自分自身も
傷つくことがあるけれど
それを見逃せない梨木くんに、
あなたも幸せになってよ!!

がんばれ、若者!
とエールを送りたい

自分の青春時代を思い出すともうちょっと
ザラッとしたというか黒歴史てきなものが
蘇るのだけれど瀬尾まいこさんに書いて
もらったら私の青春時代も
爽やかに温かい物語に
なりそうな気がする(笑)

2023年4月4日

読書状況 読み終わった [2023年4月4日]
カテゴリ 瀬尾まいこ

5篇の主人公たちはどこにでもいる人達

それぞれに悩みや葛藤があるんですよ。

そんな人達の共通点がこのポッドキャスト

『ツキない話』

勇気をもらったり、何かを感じたり

人はちょっとしたきっかけで誰かと

心を交わしてみたり、何かに気づけたり

するものなんでしょうね。

いつものようにそれぞれの登場人物たちが

何処かでつながっていくあたりが上手い!

おお、ここでつながったか!!!

っていうね、登場人物たちは知らないだろうけど

読んでる私は知ってるわけですよ。

ここと、この人がつながっている、っていうことを。

教えてあげたい気分になるね(笑)



月の満ち欠けと同じで人生だって満ちたり欠けたりを

繰り返すものなのだろうな。

姿が見えない新月の月に何かを願い

その願いを叶えるために自分にできる努力をする

頑張れ、応援しているよ。(私も頑張れ)
人によって接し方を変える人は苦手だけれど

やっぱりどの人とも同じっていう訳にはいかない

気の合う人やそうでもない人っているからね

大人だからそこは上手く合わせられるようには

なってきたけれど、人との関係だって

その時その時の関わりを変化させながら

巡っていくものだな、と再確認

近くにいると当たり前すぎて見えなかったこと

そうだったんだって気がつくのが遅すぎなくて

良かったね、と思う。

2023年3月26日

読書状況 読み終わった [2023年3月26日]
カテゴリ 青山美智子

人生いろいろ、悩みも色々、

人を妬んだり羨んだり
あるある、私はありますよ
シャールさんの言葉が
いちいち心に刺さるんですよ。

誰だって
本音だけでは生きてけない
そんなに甘くはない

素顔を隠して生きてくことだって
ありですよね。

マカン・マランの常連の人達が脇役として
登場すると、知ってる人に出会ったみたいで
とても嬉しい。

雑誌のライターとして前作でも
登場していたさくらが
「雇われライターの自分にはクライアント
求めるようにしか記事はかけません」
って落ち込んでいても
シャールさんの美味しい料理で前向きに
なっていくんですよね。

あーでも確かに、雑誌やテレビの対談とかでも
不自然なほど持ち上げられる人がいたり
それ聞かんとあかんのか?
なインタビューだったりすることがあるんだけど
きっとスポンサーや連盟の意向だったり
するのだろうな。

寄らば大樹の陰とばかりに
取り入っているライターや
写真家もいたりするしね。

色んな人がいて
いろんな考え方や生き方があって
いいんですよ、でも
自分が何を守りたいかって
ことなんです
「居場所なんて

どこかに無理やり
見つけるものじゃないのよ
自分の足でしっかりと立っていれば、
それが自ずとあなたの居場所になるの」

っていうシャールさんの言葉
このお話に出てくるすべての人に
共通する言葉のような気がする。

仮面夫婦である夫の浮気で離婚することになった燿子
セレブな生活が幸せなものではないことはすぐ
分かったがシャールさんとのかかわりはどこなんだ?

と思っていたら、そうですか、そういうことでしたか!
まさか、こんなにスキッと爽快な展開になるとは
思わなかった

最高だわ、御厨(みくりや)先輩!

「いくら準備をしたところで何もかもが
計画通りに行くわけじゃない
瓢箪から駒

それが人生ってもんじゃないかしら」
この言葉、名言中の名言じゃないですか!!
心の掛け軸に太筆ででっかく書きましたよ

そう誰にだって先のことなんてわからない
大事なのは今を上機嫌に過ごすこと。

静かな静かな夜の夜食カフェ
読んでるだけでもう私は胸が一杯になるのです

2023年2月28日

読書状況 読み終わった [2023年2月28日]
カテゴリ 古内一絵

なんて身につまされる話なんだろうと
一気読みでしたよ。

泣き止まない子供を抱えて
孤軍奮闘していたあの頃
自分の子供はかわいくて仕方ないのに
余裕がなくて声を荒らげて叱り飛ばして
寝顔見ながら涙出てくるんですよ。
そんな経験、誰だって母親だったらあるよ。
それが全部夫のせいだとは思わないけれど
その時の罪悪感を、母親って
一生持って生きて行くわけですよ
でも父親にそういう罪悪感はきっとない。

なんかね、そういうことを思い出して
切なくなっちまったよ。
今幸せな結婚生活をしている人には
澄子に嫌悪感を持つ人もいるのかもしれない

行きつ戻りつしながら前へ進んでいく澄子
視点が一つでないのも良いね
嫌々ながらも夫と離婚するのを選ばなかった女性も
いるわけで、それが間違っているとも言えない
本当に人それぞれで

他人の人生を否定せず
そういう人生もあるよ
という感じ。

昔からの友達グループにしても
嫌な部分や迷惑な部分もあるし
気が合うかといえばそれほどでも
なかったりしても
狭い田舎のコミュニティの中で
全くそれを無視して一匹狼のような
行き方をするわけではなく
彼女たちの根の部分の善良さを
認めて付き合っていく柔らかさ

リアルな内容でなかなかに辛いし
ハラハラするけれど最後はうまく収まる感じが
するのが垣谷美雨の良いところ。

それにしても、もやもやしている気持ちを
文章にするのがなんてうまいんだろうか。
もしかしたらご本人の経験談なんだろうかと
思うほどにリアルな描写だった

2023年1月9日

読書状況 読み終わった [2023年1月9日]
カテゴリ 垣谷美雨

いやいやいや、アンモナイトはないわーと
思いながら読んだのだけど(笑)

悩んだり迷ったりしたときに
こんな案內所に私も迷い込んでみたいわ。
そして外巻きさんと内巻きさんに

「困った時のうずまきキャンディをおひとつどうぞ」

と言ってもらうのだ。

と言っても、この双子のおじいさんや
アンモナイトが全てを解決してくれるわけではなく
ちょっとしたヒントがもらえるぐらい。
あとは自分で気づくんですよ。

ものの見方っていうか見え方みたいなものが
あるきっかけで反対にみえたり
急にキラキラしてきたり

内と外、右と左、陰と陽
どちらか片方だけではもう片方も存在しない
右があるから左なんだよね。
一つしかなければ右も左もない

互いの存在が互いを存在させる。

一つ願いが叶うとすると
小さかった頃の子供に会ってみたい
そしてぎゅーーーっと抱きしめて
私の首にまとわりつく子供の手の感触を
もう一度感じたい。

そんなあの頃を思い出して
何とも言えない気持ちになった。

とても悲しいわけでも
とても笑えるわけでもないけど
じわっと幸せな気持ちになれる本だった。

そして、私はそういうのが割と好き。

この人の人生では脇役の人も
その人が主役のお話があるわけで
そうなるともうね、無限なんですよ。

ああ、あの時のあの人!っていうのが
出てくると嬉しくて仕方ない。

あれ?この人ってもしかして・・・
で、結局最初にもどってまた読んでいる。

ぐるぐるぐるぐる、ナイスうずまき!

文庫本の最期に年表がついていて
登場人物たちがそれぞれのお話のときに
何をしてたか何歳だったかというのが
書いてあった。

地上げ屋の山西ーーー!!
そうか家電量販店のうりざね顔の店員!!!
めっちゃ脇役だけど、こんなところで
どっこい生きてる!と思うと笑えた。

2022年12月13日

読書状況 読み終わった [2022年12月13日]
カテゴリ 青山美智子

いくつになったって仲間たちと
ぶつかったり協力したり奮闘する姿は
青春そのもの。

それぞれにいいお年のおじさんたち
人生いろいろあったわけですよ。
伴侶が亡くなったり、親の介護があったり
会社でのポジション、会社の経営、とまぁ、
なんとなく自分と照らし合わせた時に誰がしかに
感情移入してしまう部分もあって
そんな中で頑張ってるおじさんたちに
エールを送りたくなるわけです。

出てくるのがほぼおじさん(笑)
それぞれの奥さんとかもちょこっと
出てきたりはするのだけれど基本おじさん。

でもそのちょこっとしか出てこない奥さん
なかなか良いんですよね。
特に田中さんの奥さんとか絶対良い人に
決まってるやん!っていうね。

読みやすくて楽しい本だった。
でもこんなに足は上がらない・・・

2022年12月7日

読書状況 読み終わった [2022年12月7日]
カテゴリ 桂望実

いやー、なんだか窮屈そうだわ、希和さん
真面目で控えめでいい人なんだけれどね
子供のことや夫との関係、それにめんどくさい
ママ友との距離感。

そんな中で近所の小児科の次男がはじめた
民間の学童保育
そこで働くことになった希和さんは
マイペースな経営者・要や子どもたちに
振り回されながら悩んだり気づいたりしながら
成長していくんですよ。
そんな希和さんの1年の物語。

一日中LINEがピコンピコンなってるとか
絶対無理やーーーーーーーーーーーーー
うちの子供達の頃に親同士のLINEのグループとか
なくて本当に良かった。
(もうひとつなくてよかったのはキャラ弁、あれも地獄や)

子供を悪いものや悪いことから守るのは大人の役目
でも、子ども自身が何かを感じて切り抜ける力を
持っていると信じることも大切なこと。
その2つが矛盾しないことはわかるけれど
確かにそのバランスって難しい

子供を叱ったときに感じた
これは愛情なのかただの支配欲なのか
それとも単なる八つ当たりか・・・
私にも身に覚えのある感覚で
思い返すと色々と後悔したり反省することも
多々あるわけですよ。

自分の息子と過ごす時間の大切さ
子供なんてあっという間に大きくなるし
自分が思っているより
一緒に過ごす時間は少ない。

自分の言葉を持つって大事だね
感情を言語化するって難しい。

2022年11月27日

読書状況 読み終わった [2022年11月27日]
カテゴリ 寺地はるな

他人の飛沫に感染すると
一瞬その人の未来が見れる体質の
中学教師がテロ事件に巻き込まれると
いうか立ち向かうというか
現実の話と非現実の話が交差しながら進んでいく。

登場人物や出来事があっちこっちへと移動するので
前に出てきた一言とか場面が後から
えっ?そういうこと?
それはもしやあのこと?
っていうのがあってその都度
その場面までページをパラパラ戻って
見ることになる伊坂作品は
電子書籍には不向きかもしれない

親の介護や虐待、ネグレクト
子供では解決できないことや、絶望
理不尽さ、そんなものも描きながら
なんだろうか、絶対に悪は滅びるみたいな
正義が勝つ!みたいなところがあるのが
伊坂さんの作品の良いところ。

辛い環境の中まっすぐに生きられる人間は
素晴らしい。間違いない。
が、それはその人が素晴らしいだけであって
素晴らしくなれない人が怠けているわけでもない。

ほんま、それよな。
首もげるほど頷いたわ。

視点や価値観は一つではないし
残酷で悲しいのに
どこか爽やかだったりもする。

まぁ全てが納得できたかっていわれたら
そうでもないし
喜びがあれば深い悩みを帳消しにできる、と
いうわけではないだろうが、救いにはなる。
これが生きるってことだったのか、

よしもう一度
そんなふうに思えたらスゴイよね

人生を肯定してくれるようなお話だった
そしていつもの伊坂作品らしく
エンターティメントに振り切られていた。

2022年11月13日

読書状況 読み終わった [2022年11月13日]
カテゴリ 伊坂幸太郎

何やねん、この男は!!
っていう元夫やら、変な同僚やらが出てくる序盤で
うんざりしてくるのだがきっとどこかで
一発逆転あるはず!
と思いながら読み続けましたよ。

千鶴が元夫からうけるDV描写のむごさ。
ほんとにクズ、カスな男
不幸のてんこ盛り

それなのにですよ、主人公の千鶴に対してどこか
同情しきれない自分がいるのはなぜなんだろう

なんていうか登場人物ほとんどが
ちょっと苦手かもしれない

大事なのは相手と自分、両方を守ること
相手を傷つける歩み寄りは迷惑でしかないし
自分を傷つけないと近づけない相手からは離れること。
これは覚えておきたい。

最後まで読んでタイトルの「星を掬う」の
意味がわかった。 

「行きなさい」は「生きなさい」とも聞こえる
「掬う」ももしかしたら「救う」なのだろうか?

どん底からの救いのある物語でした。

2022年10月13日

読書状況 読み終わった [2022年10月13日]
カテゴリ 町田そのこ

しっかり者だが頑なでいろんなものを1人で
抱え込んでしまう姉の光実

小さい頃からできの良い姉と比べられて
逃げてばかりの人生を送ってき た弟の歩

ワイン造りって結局はぶどうをどれだけうまく
育てられるかにかかっているようなところがあって
本当に手間のかかる作業。
日野さんはそのぶどう作りのリーダー的な存在で
母がなくなったあとはすべてのことをこの日野さんに
教えてもらいながら進めている状況

職人あるあるなんだろうけど
なんていうかこういう人たちって教えたり
育てるのが下手ですよね。(私の偏見)
見て覚えろ、
やり方を盗んで覚えろ的な

もちろん意味がある場合もあるので
全否定はしないけど
丁寧に教えたほうが
早く育ってくれるし自分も楽やんって
思うのだけどね。

光実のほうは小さい頃からよくできる姉
それはそれでなかなか窮屈
意地張って突っ張り続けたら
いつかはポキっとおれてしまう。

人に平気で弱みを見せてしまう歩の方が
案外強いのかもしれない。

そんな2人の成長物語みたいな話でした。

2022年10月7日

読書状況 読み終わった [2022年10月7日]
カテゴリ 寺地はるな

ミュージシャンへの夢を捨てきれない宮路がある日

演奏に訪れた老人ホームで出会った「神様」は

ホームの介護士・渡辺だった。

やがてホームの入居者とも親しくなっていく宮路


29歳で無職

なかなかに

人生行き止まりなわけですよ。

この老人ホームの入居者で宮路のことを

「ぼんくら」と呼んでいた

口の悪い水木のおばあちゃん

ウクレレを教えてほしいと言ってきた本庄さん

自分が必要とされる

環境の中で自立していく宮路

そうなんですよ

人生なめとんのか!な宮路だけれどね

案外ちゃんと人を見てるんですよ

その人のために一生懸命になれる。

そういう宮路のことを

ちゃんと見ていてくれる人もいる。

高齢者相手のお話

えっ!といういきなりな展開もあって

そうか、そうやな・・・

と悲しくもなるのだけれど

「たぶんどんな状況の中にいても

明日やその先にすてきなことが待っていることを

ぼくたちは知っているからですよ。」

そう言ってくれる渡辺くんの

健常さと明るさが救ってくれた。

瀬尾さんらしい優しいお話でした。

2022年9月22日

読書状況 読み終わった [2022年9月22日]
カテゴリ 瀬尾まいこ

よく出来た兄にコンプレックスを

抱いている漫画家の卵である青年や

自分の子供の成長に必死の母親

シャールの友人でもある中学教師の柳田は

娘の進路に大反対

それぞれどこか見覚えがあるような

親子の話

昔なら子供の気持ちで読んだ内容も

今ならあれこれ心配で口を出す親の

気持ちもわかるし、まぁね、全く

同じ境遇かって聞かれればそうでも

ないんだけれど共感する部分は多かった。

親はね、見守るしかないんだよ。

きっと店内は間接照明で薄暗いんだろうな

と勝手なイメージのマカン・マラン

子育てに必死過ぎて結局は子供が

見えなくなってしまった母親にも

静かに優しく語りかけるんです

「生きて行くのって寂しいのよ」

親子だって、夫婦だって、恋人だって

どんなに思い合ってたって

わからないことはあるよね。

そう誰にだって泣きたい夜はあるし

幸福の裏には寂寥が潜んでいるもの。

みんな寂しくて一生懸命、それでいいじゃない

今回もじんわりしたーー。

誰の人生にも意味はあって価値もある

自分の人生が愛しくなるような

そんな読後感でした

それにしても

失敗を責めずに、長所を褒めて人を動かす。

本当にシャールって人たらしやわあー。

今回も出てくる料理がどれも美味しそう

近くにないかしらマカン・マラン

常連になるしかない!!!

2022年8月24日

読書状況 読み終わった [2022年8月24日]

吹き溜まりのような心町を舞台にした6編の短編

みんな貧乏で悲しくて厳しくてやりきれない

それでも小さな希望と幸せをみつけて

生き抜いていく

描かれているのは

懸命に生きている人たちの日常と喜びや悲しみ

ただ「冬虫夏草」の母と息子の話は怖いというか

気持ちが悪かった。

もうあれは親の思いとかというのとは違うね

狂気を感じる。

でも、今の時代にもこういう親子はいる。

そうなんですよ、時代小説なんだけれど

現代にも通じるものがあっていつの時代も

人の思いは変わらない。

ストーリーの運びがうまくてとても読みやすかった

たしかにこの町は

生き直すには悪くない

2022年8月7日

読書状況 読み終わった [2022年8月7日]
カテゴリ 西條奈加

夏には蚊の大群が押し寄せるあのアパートにも

網戸が取り付けられ

ようやくクーラーもついた。
相変わらず大きな事が起こるわけでもない日々

お隣には若いお嬢さんが引っ越してきて

そのお嬢さんの相談に乗ったりするわけだけれど

まぁ、真面目な人なんでキョウコさんは。

自分たちが身内のように感じても
チユキさん(若いお嬢さんのことね)にとっては

迷惑かもしれない、とか思ったりするんですよ。
なんかこういうところが
キョウコさんってめんどくさい人なんだな

と思いながら読んでいる。
キョウコの事を心配してくれる
友達や母親以外の兄家族、優しい人にも
囲まれているわけで、時々気持ちが

揺らいだり、自問自答しながらもきっと
気楽な人生を楽しむ生き方を身に着けて
行くんだろうなとこれからのキョウコも
見守っていきたい気持ちだ。

それにしてもお母さんとの溝は
一向にうまる気配もないのだが
このままなんだろうか・・・

とりあえず
「マヘル・シャラル・ハシュ・バズ」
(覚えられんww)
は検索してみた。

2022年7月24日

読書状況 読み終わった [2022年7月24日]
カテゴリ 群ようこ

いやぁ、勝手に毒舌のマツコみたいな人が

出てくるのかと思っていたら

そこに傷ついている人や、お腹の空いている人がいれば
必ず、美味しいご飯を食べさせる

シャールさんはそんな優しい人でした。

広告代理店に勤めている女性や
シャールの学生時代からの友人である学校教師
雑誌の記者やシャールのことを尊敬している
弟分的なジャダ

シャールの何が素敵って
相手が誰であろうと態度を変えないところですよ。
それが同い年の柳田(中学校教師ね)であろうと

教え子の中学生でろうと。
常に、自分の考えを自分の言葉で、率直に語っている

そうよね、それぞれに人生は大変で
苦いこともあるよね、誰だって。

「マカン・マラン」とはインドネシア語で
「夜食」という意味らしい。

出してくれる料理がまた美味しそうなんですよ
体に優しそうなお料理の数々

「どんなに色々なものが足りなくたって
誰もが自分の人生の女王様よ。
あたしもそう。もちろんあなただてそうよ」

そんな風にそっと背中を押してくれて
前を向かせてくれる

「マカン・マラン」は
温かい居場所なのだ

ほっこりと優しい気持ちになれるのに
小さな悲しみがちょとづつ含まれて
私の心は大きく動いたのですよ。

誰かの心を軽くする言葉
魔法でもなんでもなくてそれは
シャールさんの人間力
「足りなければ満たせばいい
空っぽならば埋めればいいのよ」

2022年7月12日

読書状況 読み終わった [2022年7月12日]
カテゴリ 古内一絵

実際問題、こんなに何回も親が代わって
名字も代わり住むところも環境も代わったのに
まっすぐに育つものなのだろうかという
気もしないではないけれど、悪い人が
出てこない話というのはなんとも清々しかった

それでも梨花さんの行動には
共感できない部分もあって
かなりのお騒がせな迷惑な人感を漂わせていた

でも梨花に振り回された人生ってだけじゃない
そこには全力で優子を守ろうとした人たちが
バトンを繋いできた物語があって

大切なものを守っていきたいという思いが
痛いほどわかる。

愛情を惜しむことなく与えられて育てられた

優子は幸せだと思う

そして限りない愛情を注げる存在がいた

親たちもきっと幸せなんだろうなと

胸が暖かくなりました。



人生の豊かさ、家族のあり方

そして親になるということの責任

いろんなことを感じる事ができました。

2022年7月31日

読書状況 読み終わった [2022年7月31日]
カテゴリ 瀬尾まいこ

それぞれ全く違う日常を送っている5人の
共通点は同じバス停からバスに乗ること

7:23分、この発車時刻に合わせて
毎朝同じ顔ぶれの5人がバス停に集まる

そんな5人の前に現れるおじいさんの神様
「お当番さん、わしを楽しませて」

順番に神様当番を任じられる5人
みんなね、ちょっとずつ不満があるわけです
うまくいかないことや勇気が出せないこと
本当はこうしたい、こういう自分でいたいと
心のどこかでは思っているのに素直に
なれなかったり、自分の思いに気づいてなかったり

そんなときにちょっと気持ちを前に
持っていけるきっかけができたら
変われるかもしれない

青山さんの本はいつもそうだけれど
嫌な人だなと思っても嫌なまま終わらない
見方をすこしずらしただけで
あれ、この人こんなにかわいい人だった?
って思えたり明るくなれたりする

そう、私を楽しませるのは私

なんだかとても前向きになれる本だった

2022年7月6日

読書状況 読み終わった [2022年7月6日]
カテゴリ 青山美智子

いや~~な人ととても優しいいい人が
出てくるんですけどね。

ううむ、この人は信じていいのか?っていうね
ちょっと人間不信に陥りそうな展開

ファンタジー的な要素というよりは
ああ、こういう人いる・・と
思わせるモヤモヤした気持ちの悪さ

ギスギスした人間関係

ひたひたと迫ってくる怖さ

どんどんヒリヒリしてくるわけです

そして取り込まれていくんですよ
闇に。

各章はきっとつながっているんだろうな、と
読み始めたのだけれど全く共通項が
見つけられず読み進めていくと
おっ、この名字はもしかして?と
最初の話を読み直してみたりというのを
何度か繰り返しつつ最終的には

おお!なるほど!そうだったのか!!
という驚き。

やはりうまいわ!!辻村深月!

ホラーって言うほどのこともないけれど
ううん、もうね
とにかく関わらない!
近寄らない!!

それしか無い。

そして自分の中にある
「このひとちょっとおかしい・・・」と
思った直感は大事にするべしやなと思った。

2022年6月28日

読書状況 読み終わった [2022年6月28日]
カテゴリ 辻村深月

年を重ねると軽やかに
なれる部分と抱え込んでしまう部分

自由だったり不自由になったりと難しい

その中でそれまで知らなかった益恵の人生を
垣間見ていくわけですが、それがもうね
ものすごく大きなものを抱えているわけです。
いたたまれなく壮絶で残酷な体験

敗戦の混乱時の中国の恐ろしさよ

生きることと死ぬことが
紙一重の隣合わせの日々

ただ、ただ、戦争の恐ろしさと
平和のありがたさを感じている

そしてそれと同様に希望と言うか
生き抜く強さも感じるお話であった。

そう、過去は今に繋がってるんだよねぇ

最終章はちょっと物足りない気もしたけど
フィクションなのに生々しくて
圧倒される文章にぐいぐい引き込まれた
主人公は80代の高齢女性たちですが

私の世代にもしっかりと響くものがあり
これだけ壮絶で悲しみに満ちた話なのに
読後感は悪くない
と言うより爽快感まであるという不思議な本でした。

2022年6月21日

読書状況 読み終わった [2022年6月21日]
カテゴリ 宇佐美まこと

どこにでもいそうな人たちの人生の
ひとときを切り取っただけ
(ちょっと語弊がある言い方かもしれないけど)
なのに、私はその人たちのことを前から
よく知ってた身近な人かと思わせるほどに
キャラクターが魅力的なのだ

正直12篇もあると中には印象が薄いお話も
あったりするのだけれど
そういった短編を連作で重ねていくことで
どんどん小説としての厚みがでてくる。

落ち込んだときも灰色の気持ちの日も
見る角度で見える景色が違ってきたり
前向きとか空元気なことではなくて
ハッと目の前が開けていく感じ

気持ちの持ちようって言われると
そういう気持ちに持っていけない自分が
悪いのね、とネガティブな感情が
出てくるんだけれど

だまし絵のように
ッとひらめくことって
あるじゃないですか。

そんな感じの人生の見方やひらめきだと
目からうろこじゃないけど
すごく心が軽くなるわけですよ

上から目線じゃない
こがいいのかなぁ

次から次へと登場人物たちが
リンクしていく楽しみ

とても読みやすく、読後はほっこりと
前向きになれる。

2022年5月23日

読書状況 読み終わった [2022年5月23日]
カテゴリ 青山美智子

戦争が終わって丸三年が過ぎた頃
秋田県にある小さな村で、一人の女児が生まれた

から始まる物語
若くて貧しい
自分で自分の子供を育てられなくて
手を離してしまった母たち。

次から次へ展開が早くて
謎が膨らんで、一体どういうこと??
と飽きさせない。

なんとなく先は読めるんだけれど
過去と現在が交差しつつ2転3転しながら
事件の真相へと近づいていくあたり
読みだしたら止まらない。

湯川先生の出生や家族のことにも
触れられて、ああそうだったのね
そんな背景があったのね、と驚く

出生の秘密とかDVとか
なかなかに重いテーマではあったけれど
読みやすい文章であっという間に読んでしまった。

物理学がどうとか
トリックがどうとかってなると
ちょっと物足りない感は否めないが
今回は心理描写と言うか人間ドラマが
中心になっているのだろうか。

どういう犯行の仕方であったとかって
いうトリックにあっと驚くのもミステリーもの
としての醍醐味なんだけれど
どうしてそうなったのかって言う動機に
説得力がないと白ける

DV野郎に生きる資格なし!な
東野圭吾、さすがです。

東野圭吾の作品って実写化されやすいけれど
それも納得の描写力なんですよね。
ちょっと刺激は足りないけど・・・

2022年5月15日

読書状況 読み終わった [2022年5月15日]
カテゴリ 東野圭吾

これはなんて危なっかしい状況なんだって
ハラハラして、だんだん苦しくなってくる

二人共にきっとなにか公にはできない悩みや
事情があるんだろうなというのが見え隠れ
するので気になってどんどんはまりこんでしまうという
なかなか作者の思うツボな感じで読みすすんでいく

15年後に偶然再会した2人
そして周りの人を巻き込んで大きく人生が
動き出していく。

人の噂も75日っていうけれど
ネット社会では昔のことを蒸し返されたり
一生消えない傷として残って行くわけで
それがたとえ嘘やデマや誤解であっても
烙印を押されるとそれを訂正するのは難しい

でも本当に当事者しかわからないことってありますね

事実と真実は違う

いくら説明しても洗脳と捉えられてしまう
意地悪な人ならその手を振りほどくことに
罪悪感はないだろうが
善意や優しさが見えるとき
その手を振りほどくことは苦しいものです

お互いの心の居場所となった2人
だがしかしそれは周りからは
理解されない関係なわけですよ。

とにかく危うい
そして淋しい

もうちょっとなんとかうまく
説明できんのか!!
とか思わないわけでもないんですけどね

ただ一緒にいたい
と願うことは理解したい

文と更紗が幸せでいてほしい
願うのはそれだけですよ。

余韻の残るお話でした

2022年5月9日

読書状況 読み終わった [2022年5月9日]
カテゴリ 凪良ゆう

主人公の怜は高校2年生
普通の男子高校生のわちゃわちゃとした群像劇かと
思えば、えっ?これはどういうことだ?
お母さんが2人いるの?

普段はこっちの家だけれど月のうちに1週間は
そっちの家でくらすのは何故?
という怜の出生の秘密なんぞもからんできて
色々と複雑な面も見えてくるのだ。

なんといっても怜の友達たちがとてもいい
頭の中まで筋肉でいっぱいの心平や
彼女といちゃいちゃすることだけに
生きてるような竜人や真面目なマルちゃん
旅館の跡取り息子でしっかり者の藤島

もうね、本当にバカなんですよ
男子高校生のバカさ加減にどこか
見覚えのある何かを思い出してしまって
笑えるやら心配やら・・・

しかし、高校生たちは高校生たちで
それぞれ悩みもあるわけです
自分の将来や進路、家族の問題

そしてそれは親たち大人世代にも
いろんなことはあって・・・

愛のある優しい話だった
自分がこの商店街で暮らせるかって言う
ちょっとめんどくさい気はするけれど。

誰かに迷惑をかけたりかけられたりしながら
人って生きているんだなぁ、というのを
思い出す。

迷惑かけたっていいんじゃない?
そう思えることで息がしやすくなることもある。

たくましく、そして柔らかく
怜は周りの人達の愛情を受けながら成長して来た。

全体的にやや盛り上がりにはかける気がしたけど
バカで熱い彼らが愛おしかったです。

楽しく読めました。

2022年4月19日

読書状況 読み終わった [2022年4月19日]
カテゴリ 三浦しをん

「エスキース」とは?
下絵という意味らしい
軽く構図を取るデッサンのようなもの。

オーストラリアのメルボルンに留学した大学生のレイ
アルバイト先の先輩に誘われて行ったバーベキューで
出会った日系人のブ―と恋に落ちます
なかなか素直になれないレイとブ―
2人の恋の行方はどうなったのか・・・
ってところで第1章は終わるのですよ。

えっ!!どうなったんや??
と思いつつ読みすすめると
2章は額縁工房で働く子の話になり
3章は漫画家の話
そして4章では輸入雑貨店で働く人の話なのです

ところがね、それぞれに別のお話のようで
少しづつリンクしているんですよ
後で読み返してみると
あっ!なるほど!!そういうことね!!

2人の長い長い恋の話だけでなく
師弟愛であったり、推しへの愛であったり
いい時ばかりではない
うまく行かないこともすれ違ってしまうときもある
ときに切なくなることもあるけれど
誰の人生も紆余曲折ありながら進んでいく

その時々の2人の傍らにある一枚の絵

なんだか心に染みました。

最後のエピローグで
ああ!!そうだったのか!!
と、これはもう一度読み返しますね。

2022年3月16日

読書状況 読み終わった [2022年3月16日]
カテゴリ 青山美智子
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