幽霊の話というより、あの世ー冥界に触れているような短編集
仄暗い家屋、古く大きな祖母の生家、橋を渡った先、山、死んでしまった家、忘れていた子供の時の記憶
幽霊という個ではなくあの世という空間が間近にあるというか、あの世がにじり寄ってじわじわとこの世と混じりあって、その境界が曖昧なところにぽつんと置いていかれた気分である
仄暗い世界の中で、赤い椿、白い石、樹のてっぺんにある大きな柿の実、真っ青な空と海など、輪郭のはっきりした色がでてくる。それらが彼岸から此岸の人に手招きする物のように思えた
読了後の薄ら寒さ、物悲しさ、少しの喪失感。
この京極ワールドも胸の中に悪くない霞を産んでくれた
読み進めていくと急に怖い展開になっていく話は、まだ慣れない
あと遠野に行きたい
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
京極夏彦
- 感想投稿日 : 2022年2月7日
- 読了日 : 2022年2月7日
- 本棚登録日 : 2022年2月7日
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