リーン・スタートアップ

  • 日経BP (2012年4月12日発売)
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感想 : 300
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起業や新規事業開発の本の王道でしょうか。これまで読んできた他の新規事業ノウハウ本の多くが、この本について触れていました。
著者はエリック・リース氏。

感想。
名著なのでしょうが、私には冗長すぎるか。海外の本は、事例をたくさん&長く挟むんだけど、要点をまとめてくれない傾向があり、この本もそうだと感じた。学習とはそういうものなのかもしれないが‥。
と思いつつも、読み終わった後で備忘録をつける過程で、学びの多い本だったことに気付かされた。


備忘録。
・スタートアップでは、世間から、不屈の努力に創造的な才能、失敗からの気づき、などの話が好まれる。違う、スタートアップは、面白くないことこそが大事だ。スタートアップは、革新的で破壊的、混沌としたものだが、それを管理しないといけない。マネジメントが大事だ。

・旧来型のマネジメント手法ではうまくいかない。十分な調査に基づく計画を信じるようなやり方は、僅かな計画の狂いで上手くいかなくなる。ロケットの開発のように。

・一方で、マネジメントの方法論を諦めて「とにかくやってみよう」とするのも上手くいかない。このケースも著者は数多くみてきたと。

・アントレプレナーは、数えきれないほどのトレードオフに直面する。その際に重要なのは、検証可能な予測が行えるようになる点。

・「スタートアップで失敗した経験から多くを学んだ」など、言うだけなら誰にでもできる。失敗を学びにとよく言われる。しかし。スタートアップにとって失敗は、大事なお金と時間、エネルギーの喪失であり、それは企業家・社員・投資家にとって何の慰めにもならない。回避できるものは回避すべき。確かに学びは大事。特に顧客についての知見を得ることは必要。逆に言えば必要な学びは顧客の知見をえることだけだったりする。それ以外の無駄は無くさないといけない。

・リーンスタートアップという名称は、トヨタのリーン生産方式にちなんだもの。カイゼン活動、パッチサイズの縮小、JITの製造と在庫管理、サイクルタイムの縮小など。

・リーンスタートアップでは、構築→計測→学習というフィードバックループを短い間隔で継続的に行う。仮説に基づいて、小さく作って、顧客候補に当てて反応を見て、そこから学習して、また次を作る。そしてどこかでピボットを考える。

・「とりあえずやってみよう」型の課題は、効果的な学習にならない可能性があること。上のサイクルが回らない懸念。

・コダックの例。①我々が解決しようととしている問題に消費者は気づいているか。②解決策があれば消費者は購入するか。③我々から買ってくれるか。④我々は解決策を用意できるか。

・学習するためには、顧客について知見を得るには、自分たちの仮説が正しいかを確認するには、外に出ないといけない。社内にはない。

・サイクルを短く回すために、構築の段階で実際に物を作らず、イメージ動画だけを用意して、顧客候補に当ててみる、という実例。

・品質100%なものを世に出すことを優先して一向に製品がリリースされないケースも、スピードを重視してリリースした商品のアフター対応に忙殺されて破綻するケースもありうる。パッチサイズは小さくし、製品に課題が見つかればラインを止めて5回のなぜで原因を特定する方法で、スピードと品質の両立を目指せ、と。

・スタートアップの成果マネジメントのポイント。行動しやすさ、わわかりやすさ、チェックしやすさ。

・ピボットの類型はわかりやすい。①製品機能の一つにズームインする、②一つの製品では部分に過ぎなかったのでズームアウトする、③顧客の変更、④ターゲット顧客の真のニーズに製品をアジャストする、⑤まずアプリケーションを作りその後にプラットフォーム化、⑥高品質少量⇔マスマーケットへの切替、⑦価値捕捉(?)、⑧成長エンジン型、⑨販売チャネルの変更、⑩同じソリューションを別の技術で提供。

・スタートアップは飢え死にしない、溺れ死ぬ。アイデアなら数えきれないほど浮かぶ。その中から大きなものに注力しないといけない。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2023年5月5日
読了日 : 2023年5月4日
本棚登録日 : 2023年5月4日

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