宮部みゆきの長編デビュー作だそうです。もともと、文庫になる前は1989年刊、文庫の解説は鮎川哲也。時代的にも、そして解説者の名前も懐かしくて涙が出そう。
ですが、作品の内容はまったく古さを感じさせません。携帯電話やインターネットがないくらいの違いで、そのことも作品の内容自体にはまったく影響がありません。
作風は今も昔も、人情味のあるミステリ。ハッピーエンドとは限りませんが、どこかに必ず救いのあるストーリーはどれを読んでも安心できます。
ただ、この人の作品に共通する欠点として、「いろんな要素を盛り込み過ぎ」っていうのがあると思っています。飼い犬視点で話が進むこと、親娘でやっている探偵事務所、犯行の動機、そして衝撃的なラスト…。
もう少し削るか、もう少し長い作品にしてくれないともったいなさすぎです。贅沢すぎる言い分なのかもしれませんが…。飼い犬視点はさすがにもったいないと思ったのか、同じ舞台を使った連作短編集が出ています。でも、今だったら10冊ぐらいシリーズものが書けそうな舞台・設定を作っておいて、長編1冊、連作短編1冊では食い足りません。もっと読ませろ!って思ってしまいます。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
宮部みゆき
- 感想投稿日 : 2013年8月23日
- 読了日 : 2013年8月23日
- 本棚登録日 : 2013年8月23日
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