江戸へようこそ (ちくま文庫 す 2-2)

著者 :
  • 筑摩書房 (1989年2月1日発売)
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本棚登録 : 337
感想 : 33
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江戸へようこそ 杉浦日向子 ちくま文庫

江戸後期の一般庶民が
どれだけ平穏だったかと言うと
「宵越しの金は持たねえ」と
明日の心配をせずに粋がれたことだけでもわかるし
財布を女房が管理するカカア天下であったことでも
納得がいく

学問に遊びにあらゆる事に好奇心が強く
性のモラルも開放的で
吉原などの岡場所が公認だったことや
浮気やお隣同士でスワッピングとかも
雑居部屋でのセックスもありで
明るい環境だったらしい
男色やアナルセックスも普通の事だったらしい

戯作とか洒落とか粋などは遊び心の頂点であり
心にゆとりのある環境だからこその文化に違いない
いずれにしても何かに付け江戸はすごい
参勤交代もあり長く安定した政権でもあり
当時としては世界一の大都市だろうし
庶民の文盲もほとんど無く文化も知識も教養も高く
鉄砲や機関車見ればすぐに現物を創り出すし
憲法やら飛行機を設計していたというし
数学や測量も発展し日本列島の地図も作っていたようだ

それにしても杉浦日向子の好奇心もすごいし
江戸人に負けないその深い洞察力によって
見て来たように細部まで五感に響く語り口は
学問を越えて絶品である

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2018年7月7日
読了日 : 2018年7月7日
本棚登録日 : 2018年7月7日

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