どうしてボクはいるの?: 息子とパパの哲学対話

  • 柏書房 (2013年2月1日発売)
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哲学者の父が、息子とベルリンの博物館や動物園、テレビ塔などを散策しながら、その場所がもつ歴史的背景、独特の雰囲気の中で哲学的な疑問を対話しながら、1場所に1つずつの哲学的洞察を導きだして行きます。「もしも線路の上にママやパパが立っていたら」では、制止不能になった電車が暴走してきた先に5人の線路作業員がいて、ポイントをきりかえたもう一方の線路には一人の作業員がいる。5人の命と1人の命を比べてポイントを切り替えるかどうか?また、別のシチュエーションで、今、ぼくらが居るような高い橋の上にいて、ポイントは操作出来ない場合、何か大きなものを落とせば列車を止められるかもしれない。だが、そんなものはない。たまたま隣に太った男の人がいるが、あの人を落とせば列車は止まるかも?という問いに、息子のオスカーは、「できないよ、パパ!それは人殺しだもの!」(本文より)私は何か?善とは?幸せとは?という3部構成で20の問いが著されています。これらは、特別新しい問題というよりは、以前より語られ、プレヒト自身の著書にも重複する内容であるようですが、この本は特別優しく書く事によって、青年や、その親といった新しい読者層に照準をあわせているようです。ドイツではテレビなどの出演も多い著者だそうで、文章も楽しくわかりやすいのですが、日本の子供の場合を考えると、小学生ではまだ、自分の人生や判断といったものに向き合う経験が少ないので、実感として頷けたりするのは、中学生以上という感じがします。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ノンフィクション
感想投稿日 : 2013年4月7日
読了日 : 2013年4月7日
本棚登録日 : 2013年4月7日

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