ルポ塾歴社会 日本のエリート教育を牛耳る「鉄緑会」と「サピックス」の正体 (幻冬舎新書)

  • 幻冬舎 (2016年1月29日発売)
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感想 : 57
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 「サピックス→鉄緑→東大」という「王道のエリート教育」の姿を、塾関係者、学校関係者、生徒自身、生徒の保護者という4者の声を集めて描き出し、どんな生徒がこの王道路線を歩むにふさわしいのか、私学教育の役割は何なのかについて考える本。
 結論は明快で、要するに出来る子もいれば出来ない子もいるので、出来る子でない限りはこの「王道」を歩むことでかえって潰されてしまうということ、そして潰される子どもの背後には、おそらく弱い、あるいは不勉強な(ブランドにしがみつく)親がいるだろうという事実がある、という話だった。
 東京の私学に子どもを通わす、通わそうとする人は読んでも損はない?かも。自分がそうでなくても、周りのお友達の親はこんな感じ、ということを知る意味でも。でもやっぱり親の冷静さ(良い意味での。クールすぎるということではなく。)や懐の大きさが子どもを救うのだと思った。冷静になる材料として、この本はおすすめ。
 それにしても、鉄緑生が謙虚な理由、というのは納得した。そういう環境がそうさせてしまうのか、と思った。
 著者の、全方位への気の遣いようを感じながら読む本だった。おれは関西だったからなあ、関西の「王道」について書いた本もあるのだろうか。(21/03/23)

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 新書
感想投稿日 : 2021年3月24日
読了日 : 2021年3月24日
本棚登録日 : 2021年3月24日

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コメント 1件

mamofgrandpa5さんのコメント
2021/03/27

いつも参考にさせていただいています。本当にありがとうございました。

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