スメルズライクグリーンスピリット SIDE:B (POE BACKS) (ポーバックス Be comics)
- ふゅーじょんぷろだくと (2013年4月24日発売)
2巻とも表紙の二人がカップルじゃなく友達同士だということに、読後も驚く。主人公の三島は最終的に夢野と恋人同士になってるけど、あくまで三島と桐野の友情を主軸にしているのがとても面白いです。
いじめや教師の暴力など、重い部分も過度に深刻に描かず、コミカルに運んでいたりするんですが、それがかえってリアルだと思う。人間って苦しい中でもヘラヘラ笑えたりするから悲しい。
とはいえ、ありのままの自分を否定されることが、いかにその人の魂を傷つけているかは、主人公たちがときどき見せる暗い表情から感じられる。実際に自殺を考えるような描写はないのに、いつそこに転んでもおかしくない深い闇が、すぐそこに見えました。
セクシャリティっていうのは、生まれついてのものでもあるけど、表に出てくるのはあくまで「生き方」。親やほかのどうにもならない理由で、諦めざるをえないときもある。それを選ぶか否か。中学生で決めなきゃいけないのは本当に酷だと思うけれど、遅かれ早かれ人間は誰しも、どこかで生き方を選ばなければいけないときがくるもの。だから共感できる。
そのうちにこういうBL作品をファン向けじゃなく一般向けに映画化するような社会になってほしい。
手に取ったきっかけが『BL進化論』の解説なので、真面目にすごい!と思いつつ読みましたが、もちろんそれだけじゃなく、萌えもたくさんあります。桐野みたいなイケメンがアタシ口調というのは一粒で二度おいしいし、夢野が一途でかっこいい。そんな二人が必死で美少年の三島を助けに来るシーンも画的にとても魅力的です。
桐野と三島が町に帰るシーンは、きっと何度読んでも泣いてしまう。青春のほろ苦さが胸に広がる作品でした。
- 感想投稿日 : 2015年12月19日
- 読了日 : 2015年12月19日
- 本棚登録日 : 2015年12月19日
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