火車 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (1998年1月30日発売)
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本棚登録 : 34630
感想 : 2977
5

お、おもしろい。。。!
新年一発目に読んだ小説は大当たりでした。

92年にかかれた火車。
借金の火車のハナシと思って読み始めましたが、予想の上の上をいかれた感じでした。
分厚い文庫本も一気に読めるわけです。

まず今や周りのほとんどの人がクレジットカード持っています。銀のカード。
いまネットの架空世界のオプションを買うのにカード利用する人も多いですが、あれはこれの究極系だなあと。
自分の理想を錯覚で満たして満足してしまっている。
だけど、非難する資格なんてわたしにもなくて、夢をみたっていいと思う。でも、現実をみる力も必要。
弁護士さんが言っていた
「関根彰子さんは何も特別にだらしのない女性ではなかった。彼女なりに、一生懸命に生活していました。彼女の身に起こった事は、ちょっと風向きが変われば、あなたや私の身にも起こり得ることだった」
というのは本当で今まで借金をしている人なんてみると、本人の自覚が甘いなんて人ごとのように考えていたけど、状況次第で自分にも起こりうることなんだと思い知らされました。
澤木事務員が話していたサラ金パニックの話や92年当時の債権者のはなし、本当に勉強になりました。
解説の方が「推理小説であるとと同時に見事な経済小説である」と述べているのは本当にその通りで、個人情報のこともいろいろと考えさせられました。

もちろん推理小説としても一級品で、途中喬子が本当に気味悪くなったり、でも情があるところがあったりと、本当にご都合主義ではなく、まるで本当に存在したかのようにキャラクターとして確立されていたと思います。
いや、本当に宮部みゆき天才だわ・・・と何回思ったことか・・・いい小説でした。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2015年1月2日
読了日 : 2015年1月2日
本棚登録日 : 2015年1月2日

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