世界は制作される。以前のヴァージョンの改訂として。
本書を通じて、グッドマンはこの点を強調する。
それゆえ、今の私たちにとって意味のある問いとは、世界の存在についてではなく、その世界の作られ方や過程の方だ。原初の世界のようなもの、無垢であらゆるヴァージョンの根底に横たわるような安定した世界のようなものは、あるとしても、空虚だ。私たちはすでに世界の中におり、その世界の中から次の世界を作り直すしかない。
グッドマンは手の届かない場所にある真理や、その探求においてロマンティックに注がれる視線よりも、手の届く場所にありながらあまり考えられたことがない問題や、より日常的な視線を好む。そしてその視線を保ち続けることで、素朴に捉えられている世界の見え方を覆す。
それは手品師のように鮮やかな手つきだが、実際そのタネはいつも目の前に広げられていることに読者は気づくことになるだろう。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
philo
- 感想投稿日 : 2011年4月15日
- 読了日 : 2011年4月2日
- 本棚登録日 : 2011年4月15日
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