吾輩は猫である (新潮文庫)

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主人公である猫の吾輩が人間を観察し考察していくお話。
主な登場人物は、吾輩の主人のくしゃみ先生、先生の友人の自称美学者の迷亭、哲人の独仙、先生の生徒だった物理学者の寒月、先生の書生だった三平など。
寒月と金持ちの金田の娘の富子との恋が主軸だが、それを取り巻いている雑談や珍談、小事件、言い合い、悪戯など、寄り道のようなお話をたくさん集めたのがこの小説である。
日本社会に対する批評を笑いにして描いてしまうところが夏目漱石らしさなのかな。人間の滑稽さを猫の視点で描かれることで、客観的に捉えられた。
あまりに有名な小説だが、私にはなかなか難解だった。くしゃみ先生たちの会話が高等すぎてついていけない場面もあった。
印象に残った場面が二つ。
一つは吾輩の最期。人間を観察し考察し続けていた吾輩は、人間の滑稽さを語りながらも人間に愛情を持っていたように思う。哲学し続けた猫は目の前にやってきた死に対しても考えて「有難い有難い」と悟りの境地を開くのだった。生きることは考えることなんだなぁとしみじみと思った。
もう一つは、くしゃみ先生が鼻毛で田植えをしていたこと。夏目漱石が一気に庶民的に感じた瞬間だ。やっぱり同じ人間なんだね。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2023年7月14日
読了日 : 2023年7月14日
本棚登録日 : 2023年7月14日

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