おいしいコーヒーのいれ方 (4) 雪の降る音 (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社 (2002年11月20日発売)
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感想 : 180
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読み終わるまで長いことかかったけど(寄り道しまくってた)、後半は一気に読んだ。だから正直後半しか覚えてない(笑)
漫画みたいにするする読める。でも浅くない。

ショーリ君みたいな年下の子、いいなぁと思う。優しいけどしっかりしてて男っぽい、料理もできるし年上に変に期待していない。
大学生にしては出来過ぎだ、女性の作家から見た「男」だからかと思いかけていたら、すごく嫉妬深いというか、自信のない部分もあって、そこは等身大の大学生かもと思った。
でもここで、「あっそ、俺に興味なくなったならもういいさよなら」とならずにちゃんと向き合おうとするところが、健気だし大人。こんなに反省して、一緒に成長してくれる大学生。良いなぁかれん。
試験管の話が好き。2人の関係性がすごく良い。

ショーリ君の考え、「他人に何かしてあげるのは自分の幸せの為」。前に読んだ辻村深月の『ぼくのメジャースプーン』でも、「人間が泣くのは自分のことが可哀想だから泣く」と書かれていて、似ているのかもしれないと思った。
「情けは人の為ならず」が思い浮かんだ。
そうなのかも。それでいいのかも。

男の子側の心情が読めるのは楽しいしドキドキする。男性作家が書いたら、やっぱり違ってくるのかな。恋愛系はそんなに読まないから分からない。

丈のファインプレーがすごい(笑)良い相棒だなぁ。

あとがきがまた、「あとがき」と言うより1つのエッセーのように内容が濃い。作者が小説を書きながらもなお学んでいる感じ。ただ面白いだけじゃなく、こういうことを言いたいから書いているんだという、人生の教訓のような言葉。

雪の降る音、私も聞こえると思う。

20190306

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 作家ま行
感想投稿日 : 2019年3月6日
読了日 : 2019年3月6日
本棚登録日 : 2019年3月6日

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