1960年代前半の東海岸の名門大学を舞台に、風変りの女子学生と彼女に振り回される男子学生の生活や恋愛模様を描いた青春小説。
「女の子版のキャッチャー・イン・ザ・ライ」かのごとく、饒舌に語り続ける女子学生は本当にストレンジであるとしか言いようがないが、一方で饒舌さが何かを隠すための常套手段であることは、フロイディアンには有名なテーゼである。結末に表れるもの悲しさは、その饒舌さの背後にあるものが彼女の背負う固有の生きづらさであった、ということを示しており、それまでの冗長な語り口はそのコントラストをはっきりと示すためだけに表現されているように見える。
それにしても、アメリカ青春小説を読むたびに出てくる「フラタニティ」のシステムは、何度読んでもよくわからないし、正直気持ち悪さだけが残る。まあ、日本の旧制高等学校の「ストーム」も似たようなものだと思うが、一方で「ストーム」は既に日本ではほぼ消え去っている文化なわけで、大学という閉鎖的な空間の中でのおままごと遊びという印象が拭えない。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
海外文学
- 感想投稿日 : 2017年5月28日
- 読了日 : 2017年5月28日
- 本棚登録日 : 2017年5月21日
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