お洒落ですね、伊坂さんの小説って。
国民の期待を集め、若くして首相になった金田貞義が
地元の仙台市でパレードを行っている最中に暗殺されます。
ラジコンヘリから爆弾が落とされたのです。
そして事件は、三日目(厳密には二日間)で解決するのですが…。
まず、全体の構成がお洒落です。
第一部・第二部:
部外者からの目線で、事件が語られます。
テレビのワイドショーを見ている感覚になります。
偏った情報の垂れ流し状態です。
そして、ここで登場する人物たちは、後に伏線として蘇ります。
第三部:
二十年後、事件について考察する形で語られます。
事件にかかわった人々が、ことごとくこの世から消える偶然。
第一部や第二部とは打って変わって、冷静に語られ、
何かがおかしいことが示唆されます。
早々に犯人と特定された青柳雅春という人物は無実だった?
巨大な黒幕が糸を引いていたのではないか? 等々。
第四部:
犯人とされた青柳雅春と その周辺の人物の目線で
事件後の三日間に、実際に何が起こったかが語られます。
本作品 全500ペーのち、410ページ余りがこの第四部。
大いに盛り上がった読者の好奇心が満たされます。
第五部:
事件から三か月後、事件の当事者たちの様子が描かれます。
犯人とされた青柳雅春はどうなったのか。
そして、彼を支えた人々についても。
エンディングは、ちょっとキザなくらいのお洒落加減でした。
この物語は、スピード感があってわくわくドキドキ。
軽妙なトークに思わずクスッと笑わされ、
粋な元同僚に拍手を送り、とても楽しく読みました。
でも、でも…です。
実はとても恐ろしい話なのです。
仲間と楽しく過ごした昔を懐かしく思い出す “Golden Slumbers” 。
タイトルになっているビートルズの曲が、切なく心に残りました。
- 感想投稿日 : 2022年1月18日
- 読了日 : 2022年1月18日
- 本棚登録日 : 2022年1月18日
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