ゴールデンスランバー

著者 :
  • 新潮社 (2007年11月29日発売)
4.05
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本棚登録 : 15695
感想 : 2190
5

お洒落ですね、伊坂さんの小説って。

国民の期待を集め、若くして首相になった金田貞義が
地元の仙台市でパレードを行っている最中に暗殺されます。
ラジコンヘリから爆弾が落とされたのです。
そして事件は、三日目(厳密には二日間)で解決するのですが…。

まず、全体の構成がお洒落です。
第一部・第二部:
部外者からの目線で、事件が語られます。
テレビのワイドショーを見ている感覚になります。
偏った情報の垂れ流し状態です。
そして、ここで登場する人物たちは、後に伏線として蘇ります。

第三部:
二十年後、事件について考察する形で語られます。
事件にかかわった人々が、ことごとくこの世から消える偶然。
第一部や第二部とは打って変わって、冷静に語られ、
何かがおかしいことが示唆されます。
早々に犯人と特定された青柳雅春という人物は無実だった?
巨大な黒幕が糸を引いていたのではないか? 等々。

第四部:
犯人とされた青柳雅春と その周辺の人物の目線で
事件後の三日間に、実際に何が起こったかが語られます。
本作品 全500ペーのち、410ページ余りがこの第四部。
大いに盛り上がった読者の好奇心が満たされます。

第五部:
事件から三か月後、事件の当事者たちの様子が描かれます。
犯人とされた青柳雅春はどうなったのか。
そして、彼を支えた人々についても。
エンディングは、ちょっとキザなくらいのお洒落加減でした。

この物語は、スピード感があってわくわくドキドキ。
軽妙なトークに思わずクスッと笑わされ、
粋な元同僚に拍手を送り、とても楽しく読みました。
でも、でも…です。
実はとても恐ろしい話なのです。

仲間と楽しく過ごした昔を懐かしく思い出す “Golden Slumbers” 。
タイトルになっているビートルズの曲が、切なく心に残りました。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 伊坂幸太郎
感想投稿日 : 2022年1月18日
読了日 : 2022年1月18日
本棚登録日 : 2022年1月18日

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コメント 4件

まことさんのコメント
2022/01/18

yyさん。こんにちは。

伊坂さんの小説がお洒落ですね。
と言われるとなんだかyyさんに自分が褒められているような錯覚をしてしまいます(^^;
お洒落だけど実はとても恐ろしい話。
確かにその通りだと思います。
エンディングはちょっとキザなくらいのお洒落加減。
確かに、それで救われている話ですよね。
素敵なレビューありがとうございました。

yyさんのコメント
2022/01/18

まことさん

コメントありがとうございます。
まことさんは、本当に伊坂幸太郎さんが大好きなのですね。
自分が褒められているようで…って、なんか可愛い☆彡

この物語は、内容を語り出したら
色々深堀りしたくなって、レビューが長くなりそうだったので
全体の雰囲気だけをまとめることにしました。
まことさんに、素敵 と言ってもらえて嬉しいです。

傍らに珈琲を。さんのコメント
2023/08/26

yyさん

えーん、また良いレビューだぁぁ←何故に泣く
そうなんですよね、伊坂さん小説ってお洒落なんですよね。
ゲラゲラ笑うほどではなく、ちょっとニヤリとしてしまう軽いジョークとか、
巧妙な台詞の掛け合いとか、
伏線と回収でワクワクさせるエンターテイメント性であるとか。
そしてその実、恐ろしかったり。
思わず読み直したくなってしまいました♪

yyさんのコメント
2023/08/26

傍らに珈琲を。さん

(笑)(笑)(笑)
また、泣かせちゃいました?
楽しいコメントをありがとうございます。
伊坂氏の遊び心とセンスの良さにはハートを掴まれますね。

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