図書館の原田マハさんの棚。
何度も見たはずの書棚なのに、初めて見つけたかな。
表紙の絵にやられちゃいました。
チェロ!
マエストロの父を持つ高校生の和音。
離婚した母が突然家を出ていったのは小学生の時。
物質的には恵まれていても、心が不安定な高校生。
そんな和音の目線で物語が語られます。
ボストン交響楽団に着任することになった父。
和音は頑なに日本に残ると言い張り、
そんな和音のもとに「新しい母」と名乗る女性が現れます。
真弓と名乗るその女性の出現で、生活が激変。
実は、真弓にも和音の母にも深い事情があり、
その事実を知ることで、和音の心が開かれていきます。
そして、内向きだった和音が「誰かのために」
やめてしまったチェロを手に、前を向き始めるのです。
まず出てきたのは、カザルスの「鳥の歌」。
かつて国連本部でこの曲を演奏した時、カザルスはこう言いました。
「私の生まれ故郷カタルーニャの鳥は peace、peace と鳴くのです」
そして、ドヴォルザークのチェロ協奏曲、バッハのG線上のアリア。
どれも素敵な曲ばかり。
チェロには個人的な想いが色々あって
何でもないところで涙腺がゆるんで、困った困った!
設定が特異で、気持ちが入らずに読んでいたのだけど
真弓の過去が明らかになるあたりから前のめり。
人って、自分のためには頑張れなくても、
誰かのためなら懸命になれるのですね。
人と人が響き合うことで生まれる音の世界。
原田マハさんには珍しい音楽の話ですが
絵画と同様、心が震えました。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
原田 マハ
- 感想投稿日 : 2023年2月5日
- 読了日 : 2023年2月5日
- 本棚登録日 : 2023年2月5日
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