とりかえばや物語 (21世紀版・少年少女古典文学館 第8巻)

著者 :
  • 講談社 (2009年12月18日発売)
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感想 : 17
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「とりかえばや物語」は平安時代末期に成立した、作者未詳の物語です。
まず、「とりかえばや」って何?と思いますよね。
「とりかえ」はもちろん「取替え」で、「~ばや」というのは「~したいものだなあ」という願望を表す言葉です。
何を取り替えたいのかというと……男女の立場です。
いま、巷では「男女逆転の大奥」の映画が話題になっていますよね。そんなつながりで、この物語を再読してみようと思ったのでした。

時は平安時代。権大納言家の姫君は男装して朝廷に出仕し、その知性と人柄・美貌で宮廷の華になる。彼女の兄は非常な人見知りで表に出ることを好まず、女装して屋敷に籠もり、美貌の姫君とうわさされている・・・ふたりの男女逆転の行く末はいかに?!

平安時代といえば今以上に女性が束縛されることが多かった訳で、そんな中で生まれた「男女逆転」の発想の物語は、現代の私たちにも「男女の役割とは何か、男として、女として生きるというのはどういうことなのか」という問いを提示しています。

以前に、この物語に題材をとった「ざ・ちぇんじ!」(氷室冴子作。山内直実によりコミックス化もされています)を読んだことがありましたが、その軽いノリとは趣の違う、はちゃめちゃな筋書きなんだけど、考えさせられるところの多い物語です。
田辺聖子さんの平易な現代語訳で読みやすく書き下されているので、古典文学が苦手な方にも読みやすいと思います。
万人受けするストーリーではないでしょうが、ご興味をもたれた
方はぜひ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 文学
感想投稿日 : 2010年9月28日
読了日 : 2010年9月28日
本棚登録日 : 2010年9月28日

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