空白の叫び 上 (文春文庫 ぬ 1-4)

著者 :
  • 文藝春秋 (2010年6月10日発売)
3.86
  • (79)
  • (180)
  • (103)
  • (14)
  • (0)
本棚登録 : 1537
感想 : 94
2

中学生ってなぜかこうも不毛な生き物だ。世界が狭く卑屈だ。それを、犯罪を犯さずに居られるかは、普通ここまで軽くないであろうが、筆致の説得力はある。普通じゃない中学生描いているんだし。
最初の殺人、久藤美也に寄る非常勤講師の殺害が起きたとき、どうも安心した。彼の中の不協和音がようやく終わったことに安堵した。美也に同情できたわけでも、被害者の柏木が不快だったわけではないのに。女としては柏木の方に共感していたのに。それでも、それが正しい解決策でなくとも、一時の心の平穏を喜ぶ思春期の気持ち、とてもよくわかるのだ。他の二人の中学生が犯罪を犯したときについても同じ思いがした。
それが怖くも、この作品の魅力なのだろう。次巻どう展開していくか楽しみです。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 現代小説
感想投稿日 : 2018年2月14日
読了日 : 2018年2月14日
本棚登録日 : 2018年2月14日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする