世界のすべての七月 (文春文庫 オ 1-3)

  • 文藝春秋 (2009年6月10日発売)
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感想 : 53
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ティムオブライエンは、「本当の戦争の話をしよう」をかつて読んでとても感動し、何度も読み返した。村上春樹氏が翻訳していることもあってか、とても素晴らしい作品だったと思う。この作品も、村上春樹氏が翻訳している。1969年卒業した人々の、31年後の同窓会の話。群像劇であり、特定の主人公がいるわけではない。
文章表現はさすが村上春樹。素晴らしい。群像劇なので誰がどういう31年を過ごしたのか記憶に留めなくてはならないという読者に努力を求めるもの。殆どが、こんなはずではなかった、という悔いと共に思い出を語り合うのだけれど、まだこれから、という希望も持っている。
自分と比べるとどうかなあ。やはり同じようにこんな人生ではないはずだったんだけどと悔やんでばかりいるような気がするし、少し未来に希望を持っているところもあるかもしれない。そういう意味では共感できたかもしれない。
村上春樹氏自身の小説よりも、翻訳の方が文章のキレが素晴らしいと思うのでこれからも翻訳中心に読んでいこうかなと思った。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2022年3月20日
読了日 : 2022年3月20日
本棚登録日 : 2022年3月14日

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