中三の修学旅行に怪我やその他の事情で行けなかった7人が校内で過ごす三日間。
それぞれがいわゆる「友だち」ではない、というところが中学生にとってはすごく気にかかるところであるのがよくわかります。
今の中学生って、「友だち」の間ではすごく盛り上がる、でも、「友だち」じゃなかったらその場にいてもいない人、のような感覚なんじゃないのかなぁ。
だから、自らを個性がない、と自認する語り手の佐和子(中学生活を無事に楽しく過ごせるようにとても気を使っている、うん、いわゆる今の中学生女子でそんな自分を実は結構頑張ってて偉い、と思っている)は、この三日間をどう過ごせばいいか、憂鬱でたまらない・・・・。
人気テレビドラマの主演女優の岸本さん、
転校してきたばかりの帰国子女・湯川さん、
福祉施設に住む野宮さんと小田くん(学年一のモテ男)、
インテリヤクザをあだ名される勉強もケンカも“優秀”な片瀬、
保健室登校の秋吉くん、
確かにみんな個性的で面白い!(#^.^#)
で、佐和子が一番平凡なんだけど、言いたいことも言えないですぐに自己嫌悪という流れにはならなくて、徐々に、話ができるようになり、また、一緒に事件(結構三日間であれこれあったんだよね。三年生がいない学校って何かがあってもおかしくないって思えるからそれもなんかよかった)を解決する流れになったのが嬉しかったです。
今の中学生の同調圧力の息苦しさは、ホント、嫌なものなのだけど、それをきちんと(汗)踏まえながらも、こんな時だからこそ、といった感じで、ぽろっと本音がこぼれたり、だからといって性格や状況が劇的に変化したというわけでもない自然な持って行き方が上手だなぁ、と楽しく読めました。
7人のキャラがとてもよく描き分けられて、それぞれの笑顔や汗が見えるようだったり、鬱屈した思いや諦観なども自然に受け取ることができたり。
有沢佳映さんという人は初めてだったのだけど、過剰に興奮しないで中学生たちを書いているという姿勢が好きだなぁ。
とても面白く読みました。そのほかの作品も追いかけてみようと思います。(#^.^#)
- 感想投稿日 : 2013年7月16日
- 読了日 : 2013年7月16日
- 本棚登録日 : 2013年7月16日
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