スティル・ライフ (中公文庫 い 3-3)

著者 :
  • 中央公論新社 (1991年12月10日発売)
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本棚登録 : 3918
感想 : 474

タイトルの「スティル・ライフ」って画材の静物、あるいは静物画という意味なんですね。 そっか、うん、確かにこの物語そのものがひっそりとしながらも存在感のある静物、なんだなぁ、と納得です。.
先日読んだ、朝日新聞のコラム集「終わりと始まり」がよかったので、芥川賞受賞作である「スティル・ライフ」も読んでみようかな、と。(#^.^#)

染色工場でアルバイトをする青年が主人公なのだけど、芯に硬いものと柔軟なもの、二つを兼ね備えているような彼が好きでした。

池澤さんって、理系の村上春樹って言われている人なんですって。
うん、なるほどね・・・・。(#^.^#)


で、このお話に出てくるメインキャラは ぼく と、アルバイト仲間の佐々井。
二人とも、リアルな世界からちょっと離れた所に身を置いて、でも、そんな自分が結構気に入ってたりするところが似てるかな。
落ち着いた話しぶりや、じっと何かを見つめる姿勢が静かに私の中に入ってきて、気もちよく読めました。

で、お話のヤマは、突然佐々井から持ちかけられる“仕事”の話。



ネタばれです。


なんと、佐々井は8ケタ(って〇千万だよね)の横領犯で、でも、そのお金には手をつけないまま、もうすぐ時効を迎える、という設定。
そのお金を資金にして、株取引で利益をあげ、それを利子としてつけ元本も返す、という。
一攫千金といった株の儲け方ではなく、地道に売り買いをして利益をあげていく、という過程も面白かったし、佐々井が残していったプロジェクターや山、川、星などの写真を一人で見る ぼくもよかったです。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2013年8月27日
読了日 : 2013年8月27日
本棚登録日 : 2013年8月27日

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