題名になんか慕わしいものは感じていたのですが、読み始めてびっくり!
コペル君とおじさんが出てきてるし、なんか古風な言い回しと落ち着いた文体・・。
とくれば、これは、吉野源三郎「君たちはどう生きるか」の梨木版じゃないですか。\(^o^)/
時にうんうん、時にドキっという感じで、とても嬉しく読みました。引用しておきたい文章もたくさん。
舞台は平成の現代。
コペル君は14歳で1人暮らし。大学で教えているお母さんの異動に専業主夫のお父さんが同行してしまったから、という導入からして面白い・・・。
コペル君は小さい時からものごとをよぉ~~~く(*^_^*)考える子で、今も考え続けているという、あはは・・私の大好きなタイプの男の子なんですね。
そんな彼が、ずっと不登校の友だち・ユージンの家をおじさんのノボちゃん、犬のブラキ氏と一緒に訪ねた一日の話なんだけど、ユージンの従姉妹のショーコ、ショウコのガールスカウトの先輩であるインジャ、ショウコの家のお客さんであるオーストラリア人のマークとあれこれ語りながら、また、考えることが増えていく・・。
一番の話題は、多数派と少数派との関係。
ジェンダー、生態系、学校、戦時中の“洗脳”、徴兵制IN現代、などを題材に、みんな、とても穏やかに(そして全然、説教臭くない所が凄い!)語る内容が面白くて、面白くて。
特に、コペル君がこれまでの自分を振り返り、彼の「適応力」に対して価値観がひっくり返るほどの衝撃を受けた場面では、私も愕然とし、でもそこでまたプラスの気持ちになれたところが、梨木さんの力量ってことなんでしょうね。
多数派が悪くて、少数派は報われなくて、という単純な扱いじゃないところが、またよかった。
ある種の「たくましさ」や群れでやっていく能力・・協調性とか思いやりとか・・は、「大人数」の中でしか獲得できない、とか、だからこそ、時には群れから離れて生きることも大事だ、とか、足を踏まれたら痛いって言えばいい、踏んでいる方はそのことに気づいてないかもしれないから、とか、なんか、こんな風に書きだしちゃうと、誰でも言ってる陳腐な内容になりそうなのがもどかしいんだけど、一つ、一つが、すっごく腑に落ちたんだよね。
うん、私は常々「みんなと同じ」という流れがとてもイヤで、その意味でちょっと突っ張らかった自分、みたいな感じを持て余したり、ちょっとは好きだったり(汗)してたのが、また、違った角度からも見れるんじゃない?と教えてもらった気分。
アラフィフのお母さんが、YAを読んでこんなに感動するなんて!と、笑ってしまうこともできるけど、ここは素直に、梨木さん、参りました!と言いたいです。
- 感想投稿日 : 2011年6月28日
- 読了日 : 2011年6月28日
- 本棚登録日 : 2011年6月28日
みんなの感想をみる