トクサツガガガ (1) (ビッグコミックス)

著者 :
  • 小学館 (2014年11月28日発売)
3.99
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本棚登録 : 728
感想 : 58
4

ドラマを見ていて興味を持ち読んでみました。
作者が特撮オタで、でもそれをそのまま描いても共感が得られないのでは
という担当者さんのアドバイスから、ではその部分を書こうということで
始まったそうです。
確かにネットではたくさん仲間がいるのに、会社などリアルの場では
何故か仲間に出会いにくいのは、隠れオタだからかもしれませんし
こうした切り口はちょっと新鮮で面白いです。

ドラマほどではないですが、仲村さんが恥ずかしいと思いながら
でもやめられないから、とオタクを続けているので
ちょっと自虐が過ぎるように感じるところはあります。
私自身オープンオタではないですが隠してもいないので
その局面なら言ってもいいのでは、そこまで隠さなくてもいいのでは
と思いました。
とは言え、「良い年をした大人なのにみっともない」というのを、
そんなことはないとストレートにはねのけるのではなく
みっともないと自分でも思っているからそう言われると傷つくけれど
好きなものは好きだし…というはっきり割り切れないところが
非常にリアルでもあります。
仲村さんのトラウマのせいとも言えるので、親やその記憶との戦いの物語でもあります。

「彼氏がいないなら出会いを探さないと駄目だからカラオケ行こう」。
言っている方は悪気はなくて寧ろよかれと思っているのでしょうが
男がいないと駄目な恋愛脳の阿呆と一緒にしないでくれ、と思ってしまいます。
別になんでも恋愛に結びつけたいわけではないのに
やたら女子力と言う人間といると疲れてしまうので、むしろ仲村さんは
そういった同僚たちともそつなく付き合っているように見えて偉いです。
『むしろ女死力』っていうのは言い得て妙で笑いました。

仲間を呼び合える『オーラ』、確かに私も欲しいです。
RPGのステータスアイコンみたいなのが出せたらわかりやすいのに
とよく思います。
リア友のオタ仲間は、社会人になってしまうと
オフ会などに参加でもしない限り増やすのが難しい気がしますし、
オフ会にしても吉田さんのように年齢や住んでいる地域などが障害になって
気軽に参加できないこともありますよね。

タイトルは特撮ですが、特撮オタに限らず
どのようなジャンルでもオタクをやっている人にとっては
身につまされるようなあるある話が多いのではないでしょうか。

今でこそ多様性という言葉が出てきてそうした考え方の方が正しい
という雰囲気になってきましたが、それでも親が子供に押し付けることはあるでしょう。
みんなと違うといじめられてしまう、目立ってしまう、と言われて
黒いランドセルを選ばせてもらえなかった経験、私もあります。
途中で転校して学校指定の持ち物がなにもかも周りと違ってしまったので、
ランドセルがみんなと違っても全く問題なかったのではと思いますが
親を説得するほどの熱量を当時は持ち合わせていませんでした。
それでも折りに触れ思い出します。

親は自分の考えを押し付けるのではなく、子供の考えを聞き
それによって問題が生じる場合はそれについて説明の上で
子供に選ばせて欲しいなと思います。

特撮の話を思い出して電車で席を譲るシーンがありますが
人間誰しも心の支えになるものがあって、
親の教えだったり好物の食べ物だったり、何某かの自分が好ましいと思うものが
日々の言動の糧になっていると思います。
それが特撮であろうがアイドルであろうが後ろ指をさされる必要はないと思うのですが、
理解を得難い趣味の場合色々と難しいですね。

しみじみと、私もオタ仲間欲しいな、と思ってしまいました。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: コミック
感想投稿日 : 2019年2月28日
読了日 : 2019年2月27日
本棚登録日 : 2019年2月28日

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