圧倒される物語世界だった。
とにかくページをめくる手が止まらず、それは、「面白さ」「これからどうなるのか、という興味」と同時に「なぜそうなのか?を知りたいという欲求」のせいだったと思う。
天才子役である、ということの意味について言及している部分はとても興味深かった。役を演じるということの本質をついているようにも思う。
徳さんとの出会い、ローズとの関わりもまた大変興味深く、だんだん心を取り戻していく様子はドキドキしながら見守っていた。
読み終わって、なんだかわからないけど熱い気持ちになったけれども、しばらくすると、いや待てよ、という思いが沸き上がってくる。
それは、「もうちょっと書き込んでほしかったな」という読者としての要望なのだが、レイジと母親との関係や、演出家として再出発した過程(しかもそれで演劇大賞までとっている)ももう少し知りたかったと思う。
加藤さんなら書けるんじゃないかなあと思うのだ。
前作2作に比べて格段に読みやすさと深みが増してきたので、今後がとても楽しみである。
芸能界という大きな武器を、この先どう使っていくのか、あるいは使わないのか。しばらく目が離せない作家だと思う。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
新刊
- 感想投稿日 : 2014年3月26日
- 読了日 : 2014年3月26日
- 本棚登録日 : 2014年3月26日
みんなの感想をみる