今夜は眠れない

著者 :
  • 中央公論新社 (1992年2月1日発売)
3.39
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本棚登録 : 197
感想 : 22
4

宮部さんの少年シリーズ(と私が勝手に呼んでいる)。1991年作。
とても綺麗な作りで、あまり嫌な感じが表面に出てこない。
マスコミネタになるような事件に巻き込まれたときの、身内の反応、近所の反応、世間の反応などは、後になればなるほどリアルに詳しく書き込まれるようになるが、このあたりではまださっくりと書かれているにとどまっている。
放浪の株屋澤村の最後の大博打の話が、さわやかなファンタジーとして描かれていて、なんとなくさらっと読み流せてしまう。
しかし、後でよくよく思い出してみれば、父親の緒方行雄という男は、そこまでするような男なのかという疑問が湧いてくる。若い頃から浮気ばかりして、そのくせ自分を棚に上げて妻を疑いなじるなんて、それだけで愛想を尽かしてもおかしくないと思う。ちょっと取り乱したくらいで許せるなんて、なんだか信じられないと思ってしまった。ずっとぎくしゃくしてきた夫婦なのになあ。
まあ、そこが一世一代の大博打、ということなのかもしれない。
それにしても島崎くんはすごい。スーパー中学生である。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 再読
感想投稿日 : 2012年9月12日
読了日 : 2012年9月12日
本棚登録日 : 2012年9月12日

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