会社の値段 (ちくま新書 581)

著者 :
  • 筑摩書房 (2006年2月10日発売)
3.66
  • (41)
  • (45)
  • (88)
  • (7)
  • (0)
本棚登録 : 584
感想 : 60
3

株式会社は誰のものだろうか。法的には株主のものであるが、そう割り切ることは難しい。本書では、これに答えを与え、それにより株式会社の値段、価値を算定する。ウエットな部分をすべて切り捨て、アメリカ流の株主至上主義を貫く姿勢には、かなり違和感を覚えた。が、良し悪しを超え、定義に立ち戻った主張は納得せざるを得ない。しかも、「このアメリカ流は、ある方向から見たときの絶対的正しさであり、もしその正しさを受け入れない会社があるのであれば、予め市場に対してその旨を主張することがIR活動でもある」との言には感服した。確かにそうだろう。現金を200億円も持っていて、なおかつ市場価格(株価×株式総数)が100億円なんて企業は、ハゲタカファンドに買われて当然、というか自分が100億円もっていたら買うだろうことこ考えれば、著者の主張は正しいといわざるを得ない。重要なのは道徳的善悪の問題ではなく、このルールに則った経済に我々が乗ってしまっているということである。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2018年10月23日
読了日 : 2008年5月4日
本棚登録日 : 2018年10月23日

みんなの感想をみる

ツイートする