ウィトゲンシュタインはこう考えた-哲学的思考の全軌跡1912~1951 (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社 (2003年7月19日発売)
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感想 : 25

ウィトゲンシュタインは、やはり偉大だった。
本書を読んで、その事を再認識した。
偉大なんて言葉では言い表せないくらい、素晴らしい人物だったんだと思う。

そして、その凄さを余すことなく伝えてくれた、鬼界氏も素晴らしいです。
まさに力作という言葉が、本書には相応しいと思います。
サブタイトルの<blockquote>哲学的思考の全軌跡 1912-1951</blockquote>という文言は、決して誇張ではありません。
一冊の本ですべてを語り尽くすのはどだい無理な話ではあります。
だからこそ、そのエッセンスを掻い摘んで、大まかな流れを追いかけることを主眼に置いた構成が見事でした。

ウィトゲンシュタインの遺した「哲学」は、氏の「生き様」そのものなのですね。
<blockquote>こうした私哲学という光の下で見直すとき、ウィトゲンシュタインが残した膨大な言葉と思考の全体は新たな意味を帯び始めるのである。それは哲学によって生きるという生き方そのものである。この意味、この生き方こそ、彼が我々に残した最大のメッセージである。</blockquote>本当にその通りだと思います。

哲学とは、そこに書かれていることだけが重要なのだという風に、ぼくは思っていません。
哲学とは、その思考を辿ることによって、先人たちの「視点」を追体験することに意味があるのだと思います。
そこに書かれてあることを咀嚼し、消化し、自らの血肉となる糧とすること。
それが、「哲学書を読む」という行為だと思うのです。

そのような意識で接したとき、ウィトゲンシュタインという人物が遺した「もの」は、本当に偉大な財産だと思います。
その遺産に触れることが出来る幸せを、これからもっと噛み締めていきたいなと思います。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 本・雑誌
感想投稿日 : 2018年11月13日
読了日 : 2009年9月24日
本棚登録日 : 2018年11月13日

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