つめたいよるに (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (1996年5月29日発売)
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本棚登録 : 14149
感想 : 1166
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ねぎを刻む話が確かあったなぁと、ふと思い出して手に取った。
もう何度も読んだ短編集。

お目当ての一編はタイトルはそのまま、一人暮らしのOLがねぎを刻むお話。

今の自分と重なる。孤独でいるのを好んでそうしているのは自分なのに、どうしたって我慢ならない時がある。

最近、なんとはなしに涙が出てきてびっくりしたことがあった。
仕事が忙しくてストレスが溜まってた訳でもないし、泣ける映画を見てたわけでもない。
自分で作ったカレーを食べながら、涙がこぼれたのだ。

カレーが美味しくて、美味しいと思うのはそれが母の味に似てるからで、ふと実家が恋しくなって、涙が出た。

それ以来、またそんな風に泣いてしまうのが怖くて、なにかと忙しいフリをする。

前は、退屈なくらい時間を持て余して1人でいるのも平気だったのに。一生1人で生きていきたいとさえ思っていたのに。

今度涙が出そうになったらねぎを刻んでみようかな。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説
感想投稿日 : 2019年12月18日
読了日 : 2019年11月20日
本棚登録日 : 2019年11月20日

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コメント 1件

大野弘紀さんのコメント
2020/07/05

感想と言う名の、小説を読んでいるかのようです。

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