怒りの葡萄 (下巻) (新潮文庫)

  • 新潮社 (1967年5月25日発売)
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環境破壊のツケが貧しい人々の生活を襲う。今でもアフリカなどの途上国で起こっていることだ。銀行や企業が人々を住む家から追い出す。リーマンショック・サブプライムローンで眼にしたばかりだ。仕事がない人々が足もとを見られて不安定な雇用のまま賃金も切り下げられる。「失われた20年」で私たちが経験したことだ。スタインベックが告発した問題は今も世界中で起きている。この問題を改めて見つめ直すためだけでも読む価値がある。そしてこのどうしようもない状況の中でも人は生き続け、気高さや聖性を現すことがある。スタインベックはそうであってほしいという願いを込めて作品をドラマチックに仕上げている。ラストも素晴らしい。なお巻末の解説も簡にして要を得たものだと思う。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説
感想投稿日 : 2014年2月3日
読了日 : 2014年2月3日
本棚登録日 : 2014年2月3日

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