戦時の神戸を小~中学生の”H(エッチ)”の視点から描いた作品(上)。刻々増していく圧力と「正しい」ことが不明瞭な社会の中で、必死に自分を納得させようとする人々、様々な迷いや怒りを抱えた人々の生活が、素朴かつ鮮やかに描かれていると思う(素朴すぎて切なさが際立つ)。アカ狩り、外来語の排除、召集を逃れた兄さんの自殺、洋服屋を営む父親の逮捕、クリスチャンへの周囲の視線…おばあちゃんが私の年齢だった頃の日本。後世の私たちに選択肢を増やしてくれた「再建」の世代に、「ありがとう」と言いたくなった。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
戦争・紛争
- 感想投稿日 : 2011年3月28日
- 読了日 : 2011年3月27日
- 本棚登録日 : 2011年3月28日
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