盲目の三味線師匠・春琴と、幼い頃より彼女に付き添い献身的に奉仕する佐助。春琴に寄り添い、全てを春琴に捧げる佐助の生涯からは、彼の人生が幸福に満ちていたことを読み取れます。
しばしば偏執的に受け取られがちな被虐趣味としての『マゾヒズム』ですが、佐助が人生をもって示したそれは、純粋で素直な感情が為せるものでした。
作中にある『ジャン・ジャック・ルソー』とは、性格の違うものなのです。
物語の終盤で佐助が下した一つの決断。やり過ぎとも思えるようなこの行動が、私には大変に美しい行いのように見えました。
ここまで直向きに愛された春琴が、果たして幸せだったのかどうか。この問いについても、読み終える頃にはきっと答えを得るはずです。
静かな世界。暗くともたった二人だけの、輝ける世界の物語です。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2011年11月1日
- 読了日 : 2011年11月1日
- 本棚登録日 : 2011年11月1日
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