東野圭吾は生粋の大阪人なんだなあ、読み終わってまずそんなことを考えた。この本の舞台も大阪で、登場人物が大阪弁の会話を繰り広げるのだがとにかくテンポが良い。このリズムは、大阪人にしか書けないと思う。推理小説としては完成度がけっして低いわけではないが、とくに目新しいものもない。ただ、それでもこの本を好きになってしまうのは、やはり全体を覆っている大阪テイストが成せる業であろう。読んでいて楽しくなれる、軽い気持で読むにはもってこいの作品だ。時代がだいぶ昔であり、いまでもこういう作品が書けるのかどうかわからないが、根が大阪人であることは変わっていないはずなので、最近は日本推理作家協会の理事長やら、直木賞の銓衡委員やらとで忙しいとは思うが、著者にはぜひもう一度こういった作品も書いていただきたい。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2014年5月25日
- 読了日 : 2014年5月24日
- 本棚登録日 : 2014年5月25日
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