ふぉん・しいほるとの娘(上) (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (1993年3月30日発売)
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本棚登録 : 429
感想 : 37
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シーボルトと長崎丸山の遊女お滝との間に生まれたイネの生涯を描いた幕末期の歴史小説。
上巻はシーボルトとお滝の馴初めから、イネが単身、学問を捨てきれず、シーボルトの弟子であった宇和島藩の医師二宮敬作を訪ねるところまで。
江戸時代の長崎、出島の様子、また、そこに過ごすオランダ人の生活、遊女との関係等が詳細に描かれ、史実を理解する上でも一読の価値あり。
シーボルトはヨーロッパに日本を広めた貢献者でもあるが、その原動力が飽くなき好奇心であることが読み解ける。
また、それはイネにも引き継がれ、親から女性は学問が却って邪魔になる旨を言われながらも、学問を続けることの意志の強さを持ち続ける。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 歴史
感想投稿日 : 2012年7月29日
読了日 : 2012年7月29日
本棚登録日 : 2012年7月29日

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