ちょっと思い出して映画を見直すことにしたので、原作も読み直し。
映画の感想はこちら。
http://booklog.jp/item/1/B016PLAAQQ
世界大戦による核汚染で人類は地球から他の惑星に移住している。
動物たちは次々絶滅し、野生の動物はほぼ存在しない。
地球に残った人類のステータスは、生きた動物を飼うこと。
高額な動物が買えない庶民は電気動物で代用するしかない。
閑散とした地球で、人々は互いの共感のために精神共存機械を使っている。装置のチャンネルを変えて気分を変え、人類共感宗教のマーサー教で他者と共感を得る。
そして人間の代わりにアンドロイド、通称”アンディ”たちが作られ、働いている。
そんなアンドロイドのなかには人間に反抗し、脱走するものも出てくる。
主人公リック・デッカードは逃亡アンドロイドを狩る賞金稼ぎ。妻とは諍いが多く、生きた動物を飼うために仕事に励む。
アンドロイドは巧妙に作られ、専門のテストを行わないと人間との区別がつかない。
人間としての記憶を植え付けられたアンドロイドは自分を人間と思い込み、そんなアンドロイドを狩るうちに自分が本当はアンドロイドではないかと思う人間たち。
そして逃亡アンドロイドたちは、知的障害で人間社会からははじかれた青年のイジドアの元に隠れていた。
イジドアは初めて自分が付き合える相手に会えたと喜ぶが…
リックは心身疲労と人間のあり方に悩みつつもアンドロイドたちとの最終対決に向かう。
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人間とアンドロイドの違いとして、アンドロイドは共感ということが理解できないとしている。そこが「どこか人間と違う」と分かってしまう。それは他者への憐憫も持ちえないし、関心もないので人間たちの区別もつかない。
リックは自分の存在の基礎に疑惑を覚えたこともあったが結局はいがみ合うことも多い妻の所に戻り、
イジドアも最後は自分がはじかれた人間の社会へ加わろうとする。
発表年が1968年で、物語の舞台が1992年1月3日というので、近未来と言うにも近すぎるほどの未来。
作者にとっては「架空の未来」でもただ「パラレル」でもなく、自分たちが生きられる平行社会なのか。
作者のフィリップ・ディックが語った自分の創作根本。(以下あやふやな記憶ですが)、
「私は、この世ではうまく生きられない私の愛する人たちのために、彼らが生きられる世界を描く。
本来なら現実に自分を合わせるべきだろうが自分はそれができない。
それがSFを書くということだ」
- 感想投稿日 : 2015年12月7日
- 読了日 : 2015年12月7日
- 本棚登録日 : 2015年12月7日
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