東京には、動くピンクのぶたのぬいぐるみが現れるという。バレーボールくらいの大きさで、手足の先には濃いピンクの布が貼ってある。目は黒いビーズで、右耳がすこしそっくり返り、黄色いリュックを背負っている。
かわいい。
とてもかわいい。
私こういう者です。渡された名刺には「山崎ぶたぶた」と書いてある。
ある時はベビーシッター、ある時はタクシー運転手、ある時はぬいぐるみ売り場の店員さん、そしてある時は…。
ぶたぶたに出会った人々は最初は戸惑うがすぐに受け入れる。だって生きているぬいぐるみっていうだけで、あまりにも自然に存在しているのだから。
家でしたい小学生、忙しい勤め人、人を殺したくなる青年、家族と離れてしまった人…、彼らはぶたぶたさんと接して少しずつ変わってゆく。
人々が抱えている悩みは日常的だが生きることの切なさが感じられる。ぶたぶたさんの存在でほんわかしているのだが、生きることの哀切も感じる。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
●日本文学
- 感想投稿日 : 2022年10月1日
- 読了日 : 2022年10月1日
- 本棚登録日 : 2022年10月1日
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