山田風太郎ミステリー傑作選 1 本格篇 (光文社文庫 や 23-1)

著者 :
  • 光文社 (2001年3月1日発売)
3.72
  • (16)
  • (21)
  • (26)
  • (3)
  • (1)
本棚登録 : 193
感想 : 33
5

山田風太郎のミステリー集全10巻。
第1巻は本格推理小説。人間心理による殺人動機やトリックで、その人に訪れた一瞬による運命の転換というタネが秀逸。
シリーズの中でも一番小説らしい巻かも。「凄愴編」「戦争編」「サスペンス編」などはかなり人の心理を抉ってくるので読むのがつらくなることも。それでも山田風太郎の、戦時中に青春時代をすごしたため、いっそうのこと荒唐無稽な世界を創作しないと生きるのが苦しかった、という感覚にはとても惹かれる。やはり本を書くのってそういうことだと思う。自分がそれをしないと生きていられないという熱情を作品に昇華させるという行為。
また山田風太郎は、荒唐無稽時代物もかなりあるけれど、根本が史実だったりして、嘘ばっかりでないところが偉大なところ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ●日本文学
感想投稿日 : 2010年8月15日
読了日 : 2010年8月15日
本棚登録日 : 2010年8月15日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする