山田風太郎のミステリー集全10巻。
第1巻は本格推理小説。人間心理による殺人動機やトリックで、その人に訪れた一瞬による運命の転換というタネが秀逸。
シリーズの中でも一番小説らしい巻かも。「凄愴編」「戦争編」「サスペンス編」などはかなり人の心理を抉ってくるので読むのがつらくなることも。それでも山田風太郎の、戦時中に青春時代をすごしたため、いっそうのこと荒唐無稽な世界を創作しないと生きるのが苦しかった、という感覚にはとても惹かれる。やはり本を書くのってそういうことだと思う。自分がそれをしないと生きていられないという熱情を作品に昇華させるという行為。
また山田風太郎は、荒唐無稽時代物もかなりあるけれど、根本が史実だったりして、嘘ばっかりでないところが偉大なところ。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
●日本文学
- 感想投稿日 : 2010年8月15日
- 読了日 : 2010年8月15日
- 本棚登録日 : 2010年8月15日
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