シャーロック・ホームズの愛弟子 5 公爵家の相続人― (集英社文庫)

  • 集英社 (2006年9月20日発売)
4.36
  • (6)
  • (3)
  • (2)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 38
感想 : 4
5

「シャーロック・ホームズの愛弟子」シリーズの新作。
時代は第一次大戦中。
前作で出会った男アリの依頼で、従兄のマーシュ公爵を救うため、ホームズと妻のラッセルは彼らの生まれた地へ赴きます。
豪奢な邸宅ジャスティス・ホールを中心に展開する大貴族の暮らしぶりがありありと描かれ、読み応えがありますよ。男勝りのラッセルもあわててドレスを取り寄せたり、鳥撃ちで銃の腕前を披露したり。
マーシュは長兄とその一人息子の死でやむなく跡を継いだのですが、その甥が戦場で不名誉な死を遂げたことも心に重い影を落とし、生きる屍となりかけていたのでした。
戦争の無惨さや当時は兵士が裁判もなく処刑されていたことなど、苦い現実を取り入れています。

このシリーズは引退後のホームズがあろうことか結婚し、夫婦で事件に関わっていくという一種のパスティーシュ。
既に8年がたち、今回の事件は余りホームズものである必然性はありませんが、大勢の個性豊かな登場人物を巧みに配し、公爵家の跡継ぎ問題をドラマチックに盛り上げています。

読書状況:未設定 公開設定:公開
カテゴリ: 歴史ミステリ
感想投稿日 : 2006年12月18日
本棚登録日 : 2006年12月18日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする