教場

著者 :
  • 小学館 (2013年6月19日発売)
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4

警察学校を舞台にしたスリリングな話。
教場とは、警察学校の教室のこと。
緊密な出来で、読み応えがあります。

「職質」
警察学校では、職務質問の想定実習を何度もやらされる。
刑法犯は、職務質問で摘発されるケースが4割と多いので、重要なのだ。
宮坂は雪道での事故にあったとき警察官に救われて、警察官を志した。
新しく来た風間教官に、憧れているようでは駄目だと指摘される。見回りで気づいたことを報告しろと言われ‥

「牢門」
仕事を辞めて警察官を目指すことにした26歳の女子学生しのぶ。
花粉症を抱え、厳しい訓練に苦労しつつも、二つ年下の沙織とは仲が良かった。
しかし‥?

「蟻穴」
耳がいい鳥羽は、白バイ警官を目指していた。
警察学校では、日記を書かされる。嘘を書いたら退校になるほど厳しい。警察官は決して嘘の報告をしてはいけないから、その心得を叩き込まれるのだ。
教場で親しくなった稲辺のことで、問いただされたときに‥

「調達」
元プロボクサーの日下部は年長なので級長をやっているが、成績はあまり良くない。
なんでも金次第で調達するという樫村が接近してきて‥?

「異物」
由良は体格がいい一匹狼タイプ。
コンビを組む安岡は小柄。
運転技術の実習で起きたことに由良はこだわるが‥
風間教官は「小学生か」と、皆お見通し。

「背水」
卒業が近づくにつれ、緊張が高まって来た都築。
大きな失敗はなく来れたのだが、目指す成績をあげるにはまだ足りない。
卒業文集に何を書くかも悩んでいた‥
挫折を知らない人間は警察官には向かないと風間教官が指摘する。きっちり挫折を経験したほうが良い警察官になれると。

なんて恐ろしい教場!
と思うのが最初のほうのエピソード。
わずか半年ほどの期間、一つのクラスにこれほどの確執が渦巻き、生徒間で犯罪まで起きてしまうとは?
個々の事件はともかく、警察学校独特のやり方は、事実に基づくのでしょう。
身につけなければならないことをガッツリ叩き込むだけでなく、向いていない人間は容赦なくふるい落とす。
警察官とは将来、それだけ厳しい試練にさらされることになるのですね。
警察官になった同級生のことを思い出しました。何年も良いおまわりさんだったと思うのですが、ついに病気になったとか。

予想外の展開で読ませます。
一部だけどホラー並みに怖いので、どなたにでもオススメというわけにはいかないかなぁ‥ということで、★4.4ぐらい。
結城中佐の「ジョーカー」ものが好きな人にはオススメ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ミステリ(ヒーロー)
感想投稿日 : 2014年8月15日
読了日 : 2014年8月1日
本棚登録日 : 2014年7月30日

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