豆の上で眠る

著者 :
  • 新潮社 (2014年3月28日発売)
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本棚登録 : 4106
感想 : 564
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湊かなえならでは、の作品。

13年前、小学生のときに、結衣子の姉・万佑子は行方不明になった。
お人形のように可愛らしかった姉。
後に戻ってきた姉は記憶をほとんど失っていた。
似ているけれど、どこか違う気がする姉。
本当に、姉の万佑子なのか?

子供の頃に起きた衝撃的な事件の謎。
緊迫した展開と、姉を偏愛していた母親の言動がちょっと怖いものがあります。
戻ってきてから、違和感を抱く妹に対して、まわりはほとんど放っておくというのも。

幼い妹にすべてを話すわけにはいかなかったという事情もわからないではないのですが‥
終わってみると、一番割りを食ったのは実は妹?
いや、そんなはずは‥
さらわれた当事者の苦しみも、母の苦しみも、別な意味では犯人の苦しみもあるはずですよね。
そのへんがあまり描かれていないため、妹は気の毒だけど、やや他への配慮が足りない気もします。

こんな嫌な状況があり得るのね、という~湊さんの世界に興味をひかれているのは否定できませんが。
考えてみると悪意型の人間はほぼいないにもかかわらず、これだけ後味が良くないって!?
感心するようなしないような、妙な後味でした。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 国内小説
感想投稿日 : 2015年10月9日
読了日 : 2015年7月26日
本棚登録日 : 2015年7月24日

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