クロストーク (新・ハヤカワ・SF・シリーズ)

  • 早川書房 (2018年12月19日発売)
4.16
  • (31)
  • (34)
  • (14)
  • (2)
  • (0)
本棚登録 : 299
感想 : 36
5

SF作家コニー・ウィリスの近未来SFラブコメ。
テレパシー能力やコミュニケーションの問題を扱いつつ、笑わせながら怒涛の展開へ。

ブリディは、携帯電話メーカーに勤めるキャリアウーマン。
仕事の手配に忙しいうえに、しょっちゅう電話をかけてきたり、会社にまで押しかけてくる家族たちに大いに悩まされながらも、いきいきと活動していました。

じつは、会社一ハンサムなトレントという理想の恋人ができたばかり。
トレントのたっての希望で、EEDという最新の脳外科的手術を受けることにします。
特定の相手と感覚的に結びつき、言っていることが本気かどうか感情を感じ取れるようになるというもの。
言葉が伝わってくるわけではないけれど、ある意味ではテレパシーといえる、画期的なものなのです。

ところが、なぜかトレントではなく、変わり者の同僚、CB・シュウォーツと心がつながってしまいます。
開発担当のCBは才能はあるのですが、地下の仕事部屋にほとんど住んでいるオタク。
口うるさい親族や噂好きの同僚に隠して事を行ったブリディは、困り果てます。
姪のメイヴはまだ9歳だが、意外な理解者となり、手を貸してくれることに。家族の問題にも新たな焦点が浮かび上がります。
孤立しそうな危機に、ブリディは今まで気づかなかったことに目を開かれることになるのです。

最初は目まぐるしすぎて、こっちも読むのが大変でしたが。
ブリディのテレパシー能力が開花した時に起こったこととは。
ドラマ性が高まり、テンポよく楽しませながらも深みのある物語で、ウィリスの真骨頂に。
これだから、いいのよね~!
もっとSF的ムードのある作品、重厚で感動的な作品もありますので、これは軽い方ですが。
仲間を得ての活躍ぶりと解決に快哉を叫びたくなるよう、読後感はいいですよ。
満足な読み応えでした。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: SF
感想投稿日 : 2020年10月15日
読了日 : 2019年9月17日
本棚登録日 : 2020年10月15日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする