月下上海

著者 :
  • 文藝春秋 (2013年6月24日発売)
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本棚登録 : 783
感想 : 131
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2013年第20回松本清張賞受賞作。
財閥令嬢の波乱の人生を描いた華やかな作品です。

八島多江子は、財閥令嬢。
かってのスキャンダルを利用してのし上がり、人気画家となっている。
上海には租界があり、東洋のパリとも呼ばれるほど、各国の領事館が中国の貧しい人民の暮らしとは異なる世界を築いていた。
多江子が上海に渡ったのは、中国文化協会に招待されてのこと。
ところが、憲兵隊の大尉・槙庸平から、スパイ行為を強要される。民族資本家・夏方震に接近して、蒋介石政権と通じている証拠を探せと‥
陰謀渦巻く上海。

多江子はおてんばな少女で、幼馴染でいじめられっ子の瑠偉をかばってきた。大人になって瑠偉と結婚したのだが‥
夫と愛人に殺されかけた大スキャンダル。
その真相を知っていると脅す槙。
じつは‥
仕方なく夏(シャー)に近づくが、彼の人間的な大きさに惹かれ、夏も心身に傷を負った多江子を本気で想うようになり、ついには結婚を決意する。
ところが気づいた槙に夏が逮捕されそうになり‥

美しいが気弱な初恋の夫、野卑で強引な憲兵隊員、年上で誠実な中国人の大立者という3人の男。
どろどろにもつれ込む関係は、上海版で小型の「風とともに去りぬ」みたいな。
これほどもつれた関係ではないけど、最後に縁ある若者も登場。

長身で個性的な美貌の多江子が着る豪華なドレスが毎回、キッチリ描写されているのもお楽しみ。
ぐいぐい引き込まれて読みやすく、ヒロインの強さともろさ、激しさと優しさもわかりやすい。
なんとなく~二日連続2時間ドラマみたいなノリですね。映像化は向いていると思います!

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 国内小説
感想投稿日 : 2014年7月31日
読了日 : 2014年7月31日
本棚登録日 : 2014年6月8日

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