穢土荘厳 下 (文春文庫 す 1-11)

著者 :
  • 文藝春秋 (1989年5月1日発売)
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大地震、飢餓と疫病に見舞われる平城京。
栄華を誇った藤原家の兄弟達が次々に倒れる。
長屋王の呪いという風説も出て、聖武天皇は脅えて逃げだし、遷都を宣言、5年にわたって行きつ戻りつする有様に。
しだいに重みを増していく光明皇后。
娘の阿部内親王と共に、重臣達の若返りを図る。
前作で事件を起こした手代夏雄は出獄後、行方が知れなかったが、行基の弟子となっていた。
夏雄の話を聞き、心を病む病人として、行基自らが迎えに来てくれたのだ。
夏雄に恋していた染め物師の皓英は、今は夏雄の朋輩だった大伴子虫の妻となり、息子の春雄を育てていた。子虫は春雄が夏雄の子だろうと思ってはいたが、かわいくてならない。
天平15年、詔と共に、国中の富を集めての大仏建造が着手される。
民のために尽くしてきた行基が、この時期に大仏に協力することを問われて、豊かな貴族が大金を出し、貧窮する民もわずかな額を寄進することで参加できると応える。
大きな犠牲も伴いながらの大工事。
大仏建立の様子も鮮やかです。

読書状況:未設定 公開設定:公開
カテゴリ: 歴史もの
感想投稿日 : 2011年1月6日
本棚登録日 : 2011年1月6日

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