イタリア的恋愛のススメ シモネッタのデカメロン (文春文庫 た 56-2)

著者 :
  • 文藝春秋 (2008年2月8日発売)
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感想 : 42
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イタリア語通訳30年の著者が、これまでに見聞きしたとっておきの色っぽいエピソードを面白おかしく紹介してくれます。
女の子にも読めるエロ小話というか。

イタリア人は陽気で女好き。
男達は自分なりのやり方や自慢話もたっぷり聞かせてくれる。
日本人男性とは全く違う口説き方をして女心を掴むため、日本に来るたびに必ず若い女性とお近づきになる豪傑もいたとか。
シモネッタと異名を取る冗談好きな彼女には、皆いろいろと内輪の話もしてくれます。

夏のバカンスは3ヶ月もある。
学校が休みになるので、妻と子は1ヶ月先に7月から避暑地などへ出向く。
夫はさすがにまる3ヶ月は休めず、8月の途中で合流するので、妻子が出かけた後の一人生活は浮気の大チャンス。この時期にどんな女性と浮気したいかというアンケートが人気投票のような国民的行事になっているそうです。
北欧やドイツなど男性があまり情熱を示さないお国柄のところからは、イタリア男性との浮気目当ての女性も南下してくるとか…
子ども連れで先に避暑に行った妻の方も、その地での浮気があったりするとか!
最近は、イタリアもやや様変わりしているそうですが…

バブルの香りがするお金持ちのエピソードも。
そんな著者が若いときに、初めてイタリアに行ったときには決死の覚悟だったそう。
イタリア人は女の子をすぐにもてはやしてくれるものと期待していたら、見向きもされない雰囲気で、しかも言葉が聞き取れず大ショックだったとか。
それはスラングというか罵り言葉だったからなんだけど。
さかのぼって~大学に入って初めて東京に出てきたときのエピソードは、さらに初々しく。同じようなスタートラインを切った人は多かっただろうに…

ロシア語通訳でエッセイストでもあった米原万理との対談が最後に。
「1冊にまとめてしまうのはもったいない、何で皆が貴女にはこんなに話をしてくれるのか」と感心している。
「やっぱり私のフェロモンのなせるわざ」と言う著者に対して、「いやフェロモンがないからでは」と応じる。
こちらはまた「エ勝手リーナ」と著者が名付けている豪の者。
仲良さそう…
亡くなってしまったのが惜しまれます。

本人も口説かれたことぐらいはもちろんあるけれど、今から考えると富豪夫人になれるチャンスをものにしなかったのが残念と語るのが、何だかほんとに悔しそう。
でもちゃんと夫と子どもがあり、この本ではネタのついでに出てくるだけの存在だけど、実は超優秀な息子で、そのことを書いた本も別に出ているそうです。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 評論・エッセイ
感想投稿日 : 2012年9月25日
読了日 : 2012年9月21日
本棚登録日 : 2012年9月22日

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