真実の10メートル手前

著者 :
  • 東京創元社 (2015年12月20日発売)
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感想 : 329
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記者の太刀洗万智が探偵役の短編集。
怜悧なヒロイン登場です☆

だいぶ前に「さよなら妖精」で遭遇した出来事を胸に秘め、フリーのジャーナリストとなっている太刀洗万智。
あまり表情が動かないクールな雰囲気の女性ですが、真実を追究していく熱さを秘めているようです。

「真実の10メートル手前」
ベンチャー企業で有名になった兄妹だが、破綻して、妹は行方不明に。
妹の行方を追う万智は‥

「正義感」
駅のホームの転落事故。
偶然、居合わせた太刀洗万智がとっさにとった行動とは?

「恋累心中」
高校生の心中が土地の名前を結びついて美化されるが‥
取材に赴いた記者が、太刀洗と同行して、気づいた真実とは?

「名を刻む死」
老人の孤独死のいきさつとは。
発見者の高校生のことが気にかかる万智は‥

「ナイフを失われた思い出の中に」
事件を自白した少年の手記を読み解く万智。
真犯人を見つけることが出来るか‥?

「綱渡りの成功例」
災害で埋もれた村の生き残りの老夫婦の話に、ひっかかる点があり‥?
これはちょっと、気がつく必要も報道する意味もあまり感じられませんでした。
ほかの大問題に絡んでくるという構成なら、ともかく。
取材していく中で何かに引っかかるが、それを使えるかどうかわからないという問題が起きる、ことは理解できるので、そういう話が無意味とは言いませんが。

すべて題材が凝っていて、現代性もあり、このヒロインを形作ろうという工夫が感じられます。
かなりクールでやり手といった印象ですが、若者への共感はあるようですね。
すべて解決するわけではなく、事件現場に踏み込む感覚があります。
独特な苦味やひやりとするような鋭さを味わいつつ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ミステリ(ヒロイン)
感想投稿日 : 2016年12月2日
読了日 : 2016年8月13日
本棚登録日 : 2016年12月2日

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