まもなく電車が出現します (創元推理文庫)

著者 :
  • 東京創元社 (2011年5月29日発売)
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感想 : 123
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コミカルな学園ミステリ短編集。
日常の謎系です。
初めて読んだ作家さん~タイトルに興味をひかれて読んでみました。
4作目なのかな?
なかなか感じはいいですよ。

葉山君は、たった一人の美術部員。
高校の芸術棟が封鎖されて、弱小文化部は場所を確保するためにウロウロ。
美術部はとりあえず居場所があるが、美術部らしい物が置かれた部屋がもう一つあるということで、映研と鉄研が、美術部には不要だろうと念を押しに来る。
彫像や古いカンバスが置かれているようなのだが…

葉山君は巻き込まれ型で、人がいいけど押しが弱い。
ヒロインで気の強い柳瀬さんの行動力で事態が動き、卒業したはずの伊神先輩が最後には顔を見せて謎を解くという趣向。

「まもなく電車が出現します」
開かずの部室に、誰も見たことのない電車模型が出現した事件。
「シチュー鍋の底は、平行宇宙に繋がるか?」
調理実習で、ジャガイモが食べられないはずの三野はどうしたのか?という問題。
「頭上の惨劇にご注意ください」
園芸部が窓際に置いた植木鉢が落ちてきて、葉山の頭を直撃しかねなかったという事件。
「嫁と竜のどちらをとるか?」
オタクな夫が新妻に内緒で買ったフィギュアの値段は?という謎。

「今日から彼氏」は~
絵が描けるからと映研の手伝いをしていたら、裏方の一人・入谷菜々香に交際を申し込まれた葉山君。
ぎこちないデートのいきさつがリアル。
その時の不審な出来事の意味は?という事件。
葉山君が柳瀬さんの「愛妾」という評判が立っていたというのもおかしい。愛妾て。

…高校生がこんな手の込んだことを考えるのか?!という気もするけど~犯人は高校生でもミステリマニアだったということね。

著者は1981年、千葉県生まれ。
2006年、「理由あって、冬に出る」で鮎川哲也賞佳作入選し、デビュー。

読書状況:未設定 公開設定:公開
カテゴリ: 国内小説
感想投稿日 : 2012年7月25日
本棚登録日 : 2012年7月21日

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