夏祭りで一緒に漫才をしようと、しつこく迫ってくる秋本。そして、必死にそれを拒み続ける(が、しばしば引きずられている)歩。この二人の掛け合いが何といっても本書の魅力であろう。
私が最も印象に残ったのは、歩が思いをよせるメグを、お店から送っていく場面である。自分の気持ちを言葉にすることに臆病な歩だが、そんな中でも彼女が暗い顔をしていたことが心に引っかかっている。何とか勇気を出して、声をかけるが、その衝撃な憂鬱の原因を知ると同時に、自分の気持ちが到底叶わないことを知る。その歩自分自身が入り込んで一緒にドキドキしながら、そして、歩の届かない想いの甘酸っぱさを感じながら読んでいると、いつのまにか本書を読み終わっていた。まさに、「切ない青春」の代名詞のような小説であった。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2015年12月22日
- 読了日 : 2015年12月22日
- 本棚登録日 : 2015年12月22日
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