真夏の方程式 (文春文庫 ひ 13-10)

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  • 文藝春秋 (2013年5月10日発売)
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ガリレオシリーズ 6

経済産業省の資源エネルギー調査会が「玻璃ケ浦から数十キロ南方の海域が海底熱水鉱床開発の商業化を目指す試験候補地として極めて有望である」とのレポートを発表した。
世界中で不足しがちなレアメタルを採算が取れる状態で採掘できるとなれば、日本は一躍資源大国となれる。
政府はこの分野の技術開発に力を入れる。
一方で、海を荒らされるのを恐れる人々は、反対の態度を見せる。

そこで、経済産業省は、鉱床に関わる住民達に対して、説明会を開くことになった。

電磁探索についての説明の依頼を受けた、湯川学は、玻璃ケ浦を訪れた。
が、湯川が訪れた初日に、同宿であった塚原正次が、行方不明になり、翌日、海岸で、遺体でみつかった。

新幹線で偶然会った少年・柄崎恭平と湯川の交流が、悲しい事件である筈のストーリーを、暖かくしている。

悩む恭平少年に、湯川は「君が何らかの答えを出せる日まで、私は君と一緒に同じ問題を抱え、悩み続けよう。君は、一人ぼっちじゃない」と言う。

切ない結末ではあったが「実に面白い」作品であった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2021年12月17日
読了日 : 2021年12月17日
本棚登録日 : 2021年12月17日

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