三谷幸喜が31歳、「振り返れば奴がいる」の脚本を書いている頃のエッセイ。「とらばーゆ」に連載されていたようだ。おそらく初のエッセイである。落語のように文末に必ずサゲが入るなど、スタイルも初々しい。
「やっぱり猫が好き」はすでに放送済みで、一部では高評価を得たものの、世間的にはまだ無名の頃(「古畑任三郎」が始まるのは1年後)。「振り返れば」は三谷がコメディ専門と知らないプロデューサーが強引にねじ込んできたという有名な話しがあるが、その事にまつわるエピソードもいくつか収録されている。
注目すべきは、大家とも言える現在と、まだ浮き草家業の小劇場座付き作家であった当時と、世間に対するスタンスがほとんど変わらないこと。ひねた様な拗ねた様な視点は当時から抜群に面白い。
三谷本人も後書きでと書いている通り、時事ネタは基本扱っていない。お陰で現在でも楽しめる内容が多い。三谷幸喜マニアでない限り、今更買い求めるほどではないけれど、読んでて退屈はしません。
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- 感想投稿日 : 2023年10月7日
- 読了日 : 2023年10月7日
- 本棚登録日 : 2022年6月12日
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