ラプラスの魔女

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店 (2015年5月15日発売)
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感想 : 828
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ラプラスの魔女とは何か、そして誰を指すのか、また犯人は誰なのか、気になりながら読みすすめた。犯行の方法、円華の不思議な言動の謎など、これらがどのように証明されるのか、私にはとても予想できないものであり、全てが明らかになった時、シンプルなミステリーだと思っていたら実は別物であったと気づいたかのような衝撃を受けた。様々な登場人物からの視点を元に、上手くそれらから分かるものを収集して真実を導く手法と、科学的な題材を用いた作風は、東野圭吾の個性と才能を感じさせる。人間を原子に例える、謙人の考え方に好感を持った。最後、世界の未来に対して悲観するようなセリフで幕が閉じるが、決してそんなことはないと私は思う。ラプラスの魔女でさえ、世界の未来の完璧な予測は不可能なはずである。なぜなら、人間の世界には新たな法則を生み出す可能性があるからだ。人間たち自身が、世界を良い方向へ導く法則を用い、ラプラスの魔女の予測を裏切り、世界の流れを変えることもできるはずとの希望を持ちたい。もちろん、人間世界には多くの課題が山積しているが。この作品で初めて「ラプラス」という数学者と、「ラプラスの悪魔」の意味を知った。青江や武尾、中岡などの登場人物たちのその後も気になる。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説
感想投稿日 : 2017年1月17日
読了日 : 2017年1月17日
本棚登録日 : 2017年1月17日

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